保育園、親のホンネは中身だって重視したい 「質の高い保育」は、どうすれば実現できるか
――井上さんのお子さんは3人とも違う保育所ですか?
井上竜:3つ経験しているんですよ。1人目は認証、2人目は私立の認可。3人目は区立の認可。それぞれ特徴はあります。選べるんだったら距離以外にも要素はあります。本来は理念やサービスで選びたいけど、今はそういう状況にない。
泉谷:「選べるならここがいい」という所は、どこが違うんですか?
井上竜:園の方針や雰囲気、保育士への人間的な相性というのもある。言葉ではちょっと言い表せない。寒くても外で遊ばせてほしいという親もいれば「風邪引いたらどうするんだ」と思う親もいて、考え方は違う。合う、合わないはありますね。
――本当は保活は内容で選びたいですよね。
泉谷:本当は、園庭が広々していて、保育士さんも余裕があって、というところを選びたい。しかし23区で広い園庭がもはや望めないことはわかっています。
井上竜:そう思うでしょ? でも保活も3人目になると、園庭があっても、どういう使われ方をしているか、外にどうやって散歩に連れていっているのか、遊ばせ方、園庭があってもどう使っているかというのを育休中に見始めるんです。あればいいというものではない。
井上正:園庭がなくても近くの公園をうまく使って遊ばせています。そこはご心配なく。
井上竜:1人目の子が通っていた認証保育所は園庭がなかったですけど、5~6の公園を確保していて、日替わりで毎日違う公園に行っていました。
泉谷:本来は保活というのは、ここはいい園なのか、教育方針はどうかしらとかというものを見たい。現実を考えると、この国はそこまでの段階じゃないと思って、はなからあきらめてしまっている状態ですね。
ベビーシッター補助の方針を打ち出した東京都
――必ずしも保育所である必要はないかもしれません。都が待機児童対策として総額50億円をかけて、ベビーシッター料金を最大9割補助する方針を打ち出しました。これも施設整備に頼らないやり方ではあると思います。どう思いました?
泉谷:待機児童対策としてかなり安心できました。頑張れ小池知事と思った(笑)。入れなかったときのセーフティーネットと考えると、「落ちてもベビーシッターがあるから、もしかしたら育休延長せずに仕事復帰できるかも」と、ちょっとやる気が出てきました。落ちる前からもう絶望感で「日本死ね」という心境でしたが、「東京都は生きろ」と(笑)。
待機児童問題の解消は、国が主導権を取ってやってほしいとは思うけれど、待機児童問題が都市部でより深刻になっていることを考えると、やっぱり全国で統一の政策を実行するのは難しい部分もあって、なんだかんだで都が頑張ってくれないと。ベビーシッターの確保が難しいという問題もあるけれど、旗を振ってやってくれたこと自体は、感謝。もっと頑張ってほしいと思ってます。