保育園、親のホンネは中身だって重視したい 「質の高い保育」は、どうすれば実現できるか
「保育園落ちた日本死ね」と題したブログが話題を呼んだのは2016年。国や地方自治体は2020年度末までの待機児童ゼロを目標に、保育施設の整備を急ぐ。ただ「量」は大事だが、親の立場からすれば、安心して信頼できる保育園に預けたい。
「質の高い保育」をどう実現するか。待機児童数が全国ワーストレベルの東京都世田谷区を軸に、親と区職員、事業者が語り合った。近く出産を控えて保活(保育園探し)中のハフポスト日本版ニュースエディター・泉谷も加わった。
【聞き手:朝日新聞社会部・吉野太一郎】
「産まれる前から不安しかない」
――泉谷さんは3月に出産予定ですが、産まれる前から既に保活を始めていますね。
泉谷:妊娠が分かってハッピーだったはずが「3月産まれか!」と気づいた瞬間に「保育園が大変だ」と思いました。おかしいことですが、保育園に入りづらい、早生まれを避けることはもはや一般的なので……。一般的には新年度の4月に保育園がスタートしますが、都内の激戦区で、早生まれの子が1歳になった4月に認可保育所に入所させることはとても難しい。仕方がないので認証を含む認可外保育所をリストアップして、自宅から歩いて行ける範囲の6~7件を回っています。
少しでも申し込みを早くするとよいという情報もあったので、まだ妊娠3カ月くらいの段階から保育園見学を始めました。内心「気が早いよ」と言われるかなと思ったら、全然そんなことなかった。これが噂に聞く「保活」なのかと、初めて我が身として実感しました。
認可外保育所は認可よりも高いですし、見学した中には実は安全面で不安を抱くような所もありました。ウェブサイトを見た段階でも伝わってきたんですが、それでも念のために回らなきゃいけないのかと思うと、結構辛い気持ちになりました。
職場に妊娠の報告をすると、上司は「いつ復帰できますか」と。「いつかは分かりません。保育所に預けられたときが復帰できるときです」と言うと、「えっ?」と。悲しさもあり、一方でハフポストは小さな会社なので、一人抜けることが大打撃なのは分かります。申し訳ない、心苦しさもあります。
――産まれる前から不安な気持ちで過ごさなければいけないわけですね。
泉谷:もう、不安しかないです。