飲食店でのご飯の盛りの量なら、「普通」の基準は明確ですが、感想などを求められての「普通」は、尺度が明確にありません。たとえるなら、可もなく不可もなくというところなのでしょうか。
問われている内容が「好き」か「嫌い」だったら、「受け入れられる範囲」という意味にとらえられる場合もあるかと思います。また、取り立てて具体的な意見がないから「普通」というオブラートに包んだ答え方になるともいえるので、この表現を使うと、相手から主体性がないと思われる可能性が高くなります。もしくは、答える気がない、投げやりと受け取られる場合もあるかもしれません。
いずれにせよ、相手に対して真摯に向き合っているときに使う言葉としてふさわしくありません。
「そこそこ」なのか「お世辞抜きで」なのか…
3.意味が通じない「普通」
「普通にかわいい」
「普通においしい」
最近よく耳にする表現です。そもそも、この表現自体に違和感を覚える方もいると思いますが、意味を考えるなら「一般的に見たらかわいいカテゴリーの中にかろうじて入る」「そこそこおいしい」と受け止める人も多いかと思います。しかし、若い層では、「本心で」「お世辞抜きで」という意味で使うこともあり、どちらかというと「本当にかわいい」「お世辞抜きにおいしい」という意味合いを持ちます。
手作り料理を出して「おいしい?」「うん。普通においしいよ」といった会話で、「そこそこ」なのか「お世辞抜きで」なのかでは大きな違いがあり、意味の受け止め方の違いで、トラブルになることがあるのです。
このように、とらえ方が多様であるということは、相手に誤解を招く可能性が高いといえます。
4.高圧的な「普通」
「普通にしろ」
「普通の格好をして」
もはや、抽象的すぎて何を指しているかわかりませんが、発信する側の「私の思うとおりにしろ」という意図があからさまな高圧的な表現です。
管理者や指導者の場合は、このようなあいまいな表現では相手に意図が伝わらず、ハラスメントにもなりかねないので注意が必要です。
5.レベルの高い「普通」
「結婚相手は普通の人でいい」
「普通の生活を満喫できれば」
もはや、すごく特別ではなくてよい程度の使われ方で、普通の域を脱していることのほうが多いのではという表現です。一見謙虚に見えて、レベルの高いことを要求していることが読み取れます。
このように見ていくと、よほど特別なこと以外は「普通」のカテゴリーに属するのかもしれません。ということは、「普通」の意味合いはあまりに幅広いとも言えます。
この一見万能なコトバには、おのおのの思惑が絡み、マウンティングや交戦的な意味合いが見え隠れします。使い方を誤れば、人間関係に影を落とすので要注意です。
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