親にいくら貯金があれば介護離職して良いか 「介護で親と同居」は離婚リスクも高まる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここまでの話で「うちの親にはそれなりに資産があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、本当でしょうか。

そもそも、介護にかかるお金(介護保険でカバーされない自己負担部分)がいくらくらいになるのか、誰もが不安に思っています。これを実際のデータで見ると、バリアフリー化や介護ベッド、緊急対応の交通費や宿泊費といった初期費用(一時費用/自己負担)としてかかっているのは、平均で80万~90万円程度でした(この数字はバラツキが大きいため注意も必要です)。また、毎月かかっている費用(自己負担)は、平均で7万〜8万円でした。

配偶者の介護期間は平均14年

ここで、世帯主や配偶者に介護が必要になった場合、それが継続する期間の見積もり(想定される介護期間)平均は169.4カ月(14年1カ月)でした。先に10年は想定しておくべきであることを述べましたが、多くの人は、それ以上の期間を想定して準備しているのです。もちろん、実際にこれだけの期間がかかるかどうかは、それぞれに事情が異なるため、なんとも言えないところではあります。ただ、平均的には、それだけの期間の見積もりをしているという点には意味があります。

毎月の実質的な費用(自己負担)となる平均7万〜8万円が、169.4カ月間かかり続けることを想定する必要があるということです。これは、単純計算で約1186万〜1355万円になります。ここに初期費用が乗ってきますから、1266万〜1445万円を準備(貯金+期待される年金)しておきたいということになります。これは、かなりの大金です。しかもこれは平均であって、運が悪ければもっとかかることも考えておかなくてはなりません。

さらにこの想定では、介護が必要になる人が1人という計算になっていることにも注意してください。両親同時に介護が必要になるケースも多数あり、その場合は、単純に2倍とはならないものの、2000万円以上の準備が必要になると考えられます。

しかも、ここまでの話は、あくまでも介護にかかる費用に関することに限定されています。このほかにも家賃や住宅ローン、生活費や各種税金などのためのお金も必要になることを忘れないでください。

次ページ貯蓄が1000万円以下の世帯は半数以上
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事