親にいくら貯金があれば介護離職して良いか 「介護で親と同居」は離婚リスクも高まる

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日本の高齢者の貯蓄額は、世帯平均で1268万円です。この数字だけを見ると、意外と貯蓄があるように感じられるかもしれません。しかし現実には、富裕層がこの平均の貯蓄額を押し上げています。実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57・9%)になっています。

ここまでの話を総括すると…

①親に2000万円を超える預貯金があって年金もしっかりもらえている
②両親が同時ではなく、どちらか一方の介護だけが必要

 

『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

という条件が成立するときだけ、ギリギリではあるものの、親の介護のために子供がお金を持ち出す必要はない可能性もあります。

ただ、この2つの条件が当てはまる人は少数のはずで、現実には、親の介護のために子供がお金を持ち出すことになるケースのほうが多くなるでしょう。しかし、自分が介護離職をしており、収入が途絶えていたら、これは不可能なことになります。

さらに将来、いざ自分や自分の配偶者に介護が必要になった場合のために、自分のための貯蓄もしていかなくてはなりません。親の介護にお金を使いながら、介護離職をして、さらに自分のためにも十分な貯蓄をしていくことが、果たして可能なのでしょうか。

酒井 穣 株式会社リクシス 取締役副社長CSO

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さかい じょう / Joe Sakai

1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、オランダに約9年在住。帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役を経て、独立。複数社の顧問をしつつ、NPOカタリバ理事なども兼任する。主な著書に『新版 はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)など。

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