フランスは「使用済みオムツ」を持ち帰らない 日本の保育園とは何が違うのか
フランスも日本も、保育園の運用ルールには国や自治体の指針があるはずだ。それなのにどうして、このような違いが発生するのだろう? 特に「排泄物の処理」という、公衆衛生の基本であるべき部分で。
保育園の衛生管理のルールは、誰がどう定めているのか。
使用済みオムツの処理を調べてみたら、日仏で「保育の質」に対する考え方の違いが見えてきた。
フランスは、備品のサイズや数を具体的に指定
保育園のあり方の基本は、日本もフランスも大差ない。
まず法律が「保育園とはこうあるべき場所」という理念を定め、管轄省庁や自治体がその理念に沿った基準を「指針」や「条例」に決める。その基準に従うか否かで、認可が決まる。大きな違いは、その「認可」のあり方だ。
フランスで保育園を認可するのは、「母子保護センター」という、各地方自治体に置かれた医療機関だ。妊娠出産期の母親と6歳までの児童の健康維持を監督する機関で、保育所の設備指針もここが決める。
指針には園を運営する上での「最低限の目安」が書かれており、備品のサイズや個数など、具体例を示す場合が多い。
トイレを例に取れば、オムツ替えマットのサイズやゴミ箱の形(足ペダル式の蓋つきなど)を載せて、それぞれ最低何個、と記載する。
強制力はないが、認可元が「最低限こうすれば良い」と示しているので、それに反して独自のやり方をする園はほとんどない。
家庭内小規模保育(保育ママ)にも同様で、パリ市の指針を見ると、記載はオムツ換えマットの消毒方法やリネンの洗濯温度にまで及ぶ。