フランスは「使用済みオムツ」を持ち帰らない

日本の保育園とは何が違うのか

日本では、行政が運用ルールを事細かに定めることは、時に「規制」と受け取られ、好まれないこともある。とはいえ、保育の現場の負担軽減のために、フランスのように「目安」を示し、事業者の合理的な判断を促すやり方もあるのではないだろうか。

この日本とフランスの違いに関して、日本の保育関係者の意見を聞いてみた。

保育所の労務管理に携わる社会保険労務士・糠谷栄子さん(社会保険労務士法人ワーク・イノベーション)は、第三者として保育所を見ながらこうコメントする。

「トイレ対応は各園で安全・衛生のルール統一がなされていないのですが、『保育』の教育や、自治体主体の研修等である程度『常識』ができているため、ふつうの園で『危険だ・不衛生だ』と感じることはありません。この点で行政がマニュアルを与えることは却って保育士や現場に負担が増えるように思います。 ただ、『オムツは園で廃棄。回収費用はすべて国の負担』など、事業所と保護者の負担が共に減るルールなら歓迎です」 

ある私立小規模保育園園長はこう答えた。

「保育所のルールをガイドラインなどから拾って適用していくことは、医療や公衆衛生等の専門家ではない私たち事業者には、少なくない負担です。行政はガイドラインや指針等を今一度見直し、チェックリスト化したり客観的に数値化できるものはしていくべきではないでしょうか」

基準が曖昧なまま保育の数を増やしていいのか

政府は2020年までに、待機児童対策で32万人分の保育枠の増加を約束している。

新たに保育事業に参入する事業者が増えるだろうが、それが皆「意識の高い事業者」である保証はない。保育の質を守るには、安全・衛生管理がまず第一の基盤だ。

どんな事業者が手がけても、最低限「これさえ守っていれば」と客観的に判断できるような目安を、国や自治体が示す時にきているのではないだろうか。少なくとも、トイレやオムツ交換といった衛生に関するところでは。

待機児童、保育士不足の問題は深刻化している。保育現場には、配慮とマンパワーを要する点が複雑多岐に渡る。行政の基準が曖昧なままでは、安全・衛生の管理に、保育士の貴重な配慮とマンパワーが持っていかれることになる。

行政がもう一歩踏み込んで、安全・衛生管理の目安を示すことは、保育士の仕事を合理化し、事業者の意識を底上げにつながる。それは現場の「保育の質」を高めることにつながるのではないだろうか。

(文:髙崎順子 編集:笹川かおり)

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