先端グリーンビジネス「植物IoT」とは何か

観葉植物市場の成長余地は大きい

中村社長(右)とスタッフ(筆者撮影)

恵三子さんも元商社勤務。当時は子どもを育てながら自宅インテリアの記事を発信する人気のカリスマブロガーでした。そのクリエーティブな感性を取り入れて完成した店舗は、天井から吊るした5メートルものハンギング植物とアンティーク家具の斬新な組み合わせで人気を呼びます。

口コミ、メディア紹介も多く、中村氏は「ハンギング植物ブーム」の仕掛人となります。なお恵三子さんはその後、同社の経営に参画。執行役員として店舗、商品デザインなどで活躍中です。

グリーンコチネンタルは現在、関西、中部など全国で休眠中の温室を活用。生産委託契約を結んだ農家と観葉植物を育成・保管しています。扱う植物は約1000種類、中南米の植物や人気の食虫植物もそろえています。土・植物をデザイン、生産、卸販売、レンタル、さらにメンテナンスまでを一貫して請け負い、今や年間10万鉢の供給を行うまでになりました。

スタッフの大半は「ボタニスト」と呼ばれる植物やインテリアの専門知識を持つ主婦たちで、名古屋、東京、大阪、福岡などに住んでいます。そしてプロジェクトごとにチームを組成し、各個人の技術と才能を生かして受託したイベントなどを実行します。イベントと言えば、2015年、安倍首相がミャンマー大統領を迎えたファッションイベントの植栽演出も請け負ったそうです。取引先150社の実績により、国家的行事の舞台裏を任されるまでになったのです。

植物IoTでヒトと植物の新しい関係を作り出す

「世界“初”しかやりたくない」という中村社長、次の挑戦が植物IoTです。名付けて「Monet(モネ)プロジェクト」と言います。

植物に取り付けた生体センサーと、温湿度や照度、二酸化炭素濃度などの環境センサーデータをクラウドサーバーで収集。その情報と人間の体調や動きの測定値を組み合わせ、快適なオフィス空間を実現しようというものです。まさに、IoTの植物版です。

植物センサーは、世界中の学術論文を渉猟して探し当てた埼玉大学理工学研究科・蔭山健介教授と共同で研究、開発、そして特許化しました。データはスマートフォンなどで表示でき、植物の活動量、空間内の二酸化炭素濃度の変化などを可視化できます。

この植物IoTの一環で、植物が発する波形パターンを分析して、それが「断末魔の叫び」か「歓びの歌」かを判別する技術も開発中です。「断末魔」を活用すれば、果実はより甘く、唐辛子はより辛くなるなど食物の特性をさらに強め、また薬用植物の薬効成分のコントロールも可能になります。逆に「歓び」が高まれば、植物の活動量と連動した各種製品の開発にも応用できます。その斬新な取り組みは、世界的な大企業などから評価され、現在9社と極秘プロジェクトが進行中だそうです。

次ページますますひろがっていく植物IoTの可能性
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