小泉進次郎を支えた金髪クリエーターの気概 「30代の首相と日本をアップデートしたい」
ひとつのビジョンを仕掛けて、チームを作っていけば、社会的な面白い流れが作れる。考えていることを、世の中に対して新しい価値観としてちゃんと伝えていくこと、それは若い世代の仕事であるべきなんじゃないかと思うんです。そういうことを僕もやりたい。そこから、「近い将来、総理大臣のスピーチを書く」と周りに言うようになりました。
やがて、地方選挙や東京都知事選なんかで声がかかるようになり、キャンペーンを手掛ける中で、「夢に近い仕事があるけどやらない?」と声がかかって。小泉進次郎さんら若手議員が、新しいビジョンを示そうとしているんだけど、それをメッセージとして落とし込む必要がある、やってほしいんだよね、と。共鳴するものがあり、即引き受けました。
議論はカオスだった
最初に委員会に参加したときは「誰なんだろう」という目で見られていたでしょうね。
僕は2015年4月に厚生労働省の「保険医療2035」というビジョンを書いているんです。だから、政界の人の中へも違和感なく入っていけました。だけど、議論になると、もう、カオスでしたね。
進次郎さんの課題設定はとてもクリアでした。「人口減少に悲観的になるな。減少は当たり前と認めて、それを攻めにする新しいビジョンを出したい」と。「なにが問題なのか」が明確だと、ビジョンも明確になる。ところが、実際に議論が始まったら、みんながいろんな意見や正義を持っていて、ああだこうだとしゃべり出します。これ、どうまとめればええんや!と。
厚労省のときは、トップダウンだったからやりやすかった。でも小泉小委員会では、本当にフラットな議論がなされたんですよ。民主的だったとも言えます。毎回長時間になりますし、もうみんな本気で議論しているから、どう聞いていいかわからないときもありました。
進次郎さんは、ファシリテーターのような存在でした。あまり自分の意見を言うことはない。でも、アジェンダを設定しているのは小泉さんなんです。厚労省分割案もそう。「分割すべきじゃないか。だって今の厚労省はおかしい、仕事の領域が広すぎると思う」と小泉さんが言う。参加者は、それに沿って議論する。
賛否こそあれ、みんな意見を言うから、気持ち良かったりもする。つまり、論点そのものが重要なんですよね。小泉さんは、場の作り方、議論の進行の仕方が圧倒的にうまい。帝王学を学んでいるなという感じがしました。
僕は、どの人の意見をどのぐらい入れようかずっと考えていました。本当にカオスでしたよ。これは自民党のすごいところだと思いますけれど、保守もリベラルもいるんです。
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