これから、日本には「人生100年食堂」が必要だ 特別対談:リンダ・グラットン×小泉進次郎
「国のかたち」は100年スパンで考える
リンダ・グラットン(以下、グラットン):『ライフ・シフト』を執筆した動機は、テクノロジーの影響を考えながら未来を見ていったとき、100歳生きる長寿社会への到達が、世界的に早く実現すると気づいたからでした。
共著者のアンドリュー・スコット氏は、経済学者として経済的な側面の影響を、私は心理学者としての視点からさまざまな社会状況について調べました。その中で、最も逼迫しているのがやはりこの長寿化でした。しかし、なかなかこの問題が話題にのぼることがないのです。
小泉進次郎(以下、小泉):僕は、政治家として未来を眺めたとき、政治が何をどのぐらいのスパンで考えることが国民の安心につながるのかを考えたんです。80年でも90年でもない。100年生きても大丈夫、そういう発想で政策を考えないと、国民に希望と安心を示すことができないだろうと。そこで「人生100年時代だ」と言い出したら、その直後に『ライフ・シフト』が出版されたものですから、まるで赤い糸で繋がっているような感覚でいますよ。
グラットン:政治家と学者、役割は違いますが、似ていることがあるとするならば、どちらも何らかの物語をつむぎ出したいと考えているところだと思います。小泉さんが、国全体がどうなっていくのかをお考えになったのに対して、学者の私は、将来について研究するなかで、おのずと物語を描くことになりました。
『ライフ・シフト』には、20代のジェーン、40代のジミー、そして70代のジャックという年齢層の異なる3人が登場します。100年の人生、いまの条件のなかで、20代のジェーンの人生はどうなっていくのだろうか。登場人物の暮らしを通して考えるのです。政治家の仕事は、こういったそれぞれの世代の問題に、齟齬なく対応していくことなのかなと思います。
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