これから、日本には「人生100年食堂」が必要だ 特別対談:リンダ・グラットン×小泉進次郎
だから女性の社会参加が必要で、それは女性活躍のためではなく、女性にとっても男性にとっても社会にとっても良いことなんだということを、もっと多くの人が理解しないと根づいてゆかない。そういったことを僕は伝えていきたいと思います。
政治が考えるべきは「便利な社会」ではない
小泉:2018年は明治150年。司馬遼太郎さんは、「この国のかたち」という言葉を使いましたけれど、新しいこの国のかたちとはなんなのか、人生100年時代を視野に入れて、それを示すことができるのかが日本に問われていると思います。
少し激しい言い方になるかもしれませんが、日本に問われているのは、永続国家となれるかどうか。永続できない可能性すら感じるのが現状だからです。最大の課題は少子化です。いくらテクノロジーを使って便利な社会を実現しても、日本の人口は下げ止まらず、結果として日本がなくなっていくことになれば、一体なんのための便利なのか。
政治家としての目的は「便利な社会」ではない。これから何世紀も日本が、次の世代へバトンを渡していける、そのために社会のあり方をどう変えるべきなのかを真剣に議論しなければならないタイミングだと思います。
最近、日本のファミリーレストランが定休日を設けたり、コンビニが24時間続けられなくなったりしてきた。私はいいことだと思いますよ。正月三が日、休めばいいじゃないですか。日本は四季の国、旬がある国なんだから。もっと四季を感じる心を取り戻したほうがいい。24時間動ける人はいないんだから。
東京やロンドンやニューヨークは眠らない街、それはそれでいいと思うんです。でも一方で、夜は暗い、夜は寝る。昼は明るい、昼は働く。当たり前の人間らしい場所も確立しなければならない。
豊かさは、東京じゃないところにもいっぱいある。そこにもう一度価値を見出したい。激変の世界だからこそ、変わらないものにもう一度価値を見出すことが、これからの日本にとってとても大切でしょう。農業、漁業、林業、食にまつわるところは特に大事だと思います。人は食べなきゃ生きていけないのだから。
グラットン:本当に素晴らしいお話をありがとうございます。私は新しい本のなかで、そういった問題について触れているんです。産業革命によって生まれた生活様式、便利さの発展とはなんなのか。小泉さんのおっしゃることは、本当に的確です。
個人として、家族として、企業として、政治家として、その目的、目標はなんなのか。私たちは、なぜこういう暮らしをしているのかを考えなければなりません。
これまでは、家族を破壊するような生活モデルをつくってきてしまいました。日本は特にそうですよね、長時間労働で、子供が成長する様子を見ていけない。そんなことが家族にとっていいはずありません。都市での営み、これはほぼ非人間的といってもいいレベルだと思います。
日本が世界に比べて大きく有利なのは、自分たちの食や伝統を失っていないこと。素晴らしいことだと思います。これは特にアメリカで大きな問題となってくるポイントだと思います。「なぜこうしているのか?」それを特に若い人たちには考えていただきたいと思いますね。「人生100年コミュニティ」「人生100年食堂」、ぜひ実現してください。
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