小泉進次郎を支えた金髪クリエーターの気概

「30代の首相と日本をアップデートしたい」

「社会保障とはなにか」、これひとつとっても、そもそもの認識が人によって違う。議論し尽くしたし、そろそろ一度まとめようか、という感じで持ち帰りましたが、「いやマジ、これどうまとめようか」と。そこから2日徹夜して書いたものが、「レールからの解放」です。

提言は「抽象度」を上げつつ「絵が見える」ように

提言は、なるべく抽象度を上げました。各論になると、結果が見えやすい分、なにをどれだけ減らすとか、目先のことばかりになってしまいます。メディアも突っ込みますし、反発も起きやすい。でも国家の運営は、こういう方向で行くというビジョンのほうが大切ですからね。

どう抽象度を上げるかというところは、僕がやってきた仕事でもありますし、一任されていました。絵は浮かんだと思います。「社会保障」「社会のあり方」って抽象的で絵が浮かびづらいけど、レールという表現を使ったことで、形にはなったなと。

ただ、哲学者のカール・シュミットが言うように、政治の本質は「味方と敵の区別」だったりするわけで、もっと明確に、敵を明示したフレーズのほうが浸透しやすいんですよね。「政権交代」とか「郵政民営化」のような。その点、メディア的な煽りが弱かったかもしれません。

でも、今回やりたかったのは「転換」です。『ライフ・シフト』のように、考え方をシフトさせたかった。新しい考え方って、得てして受け入れられないものです。だから、「解放」という言葉で表現しました。

――クリエイターの方が国家ビジョンを作るというのは、あまりないことですね。

スピーチライターは、いろんな人が出始めていますけどね。鳩山由紀夫元首相の原稿は、劇作家の平田オリザさんが書いていましたし、今も安倍晋三首相のスピーチライターは元『日経ビジネス』の記者の方です。広告出身者では珍しいんじゃないですかね。しかも、僕のような権威とは程遠い人間が。自民党本部の建物に入るとき、毎回、警備に止められましたから(笑)。

提言を出してから、何人かから「おまえ書いただろ?」と言われました。「高木新平ぽい」と思われたんでしょうね。うれしいですし、それだけメッセージとして強かったということです。主観があって、非常に感情のこもったものになりました。

僕は、自分が信じていないことは発信しないんです。「レールからの解放」も自分ごととして書いたし、同世代に読んでほしい、同世代なら「それ普通じゃない?」と思うようなことを書いたつもりです。できた時は、「これしかないな」と思いました。これがだめなら降りようと。

――議論のなかでもご自身の意見をぶつけていらっしゃいますね。

かなりフラットに意見を言わせてもらいました。『人生100年時代の国家戦略』にも書かれていますが、勤労者皆社会保険制度にフリーランスを含めるかどうかについては、ある議員とぶつかりました。

「これからフリーランスが増えるに決まってるのに、それを含めないなんてありえないですよ。なに言ってるの?」と。

普通の政治家というのは、企業を見ていますからね。終身雇用もそうですが、企業に支えられた社会保障になっている。それをベースに考えるから、フリーランスを軽んじるんです。でも、あんたら政治家だって全員フリーランスやん、みたいな。

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