生誕100年のバーンスタインは何が凄いのか 2018年のクラシックはここがポイントだ

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オペラ界にも新風が吹き込んでくる。東京のオペラの殿堂「新国立劇場」の次期芸術監督、大野和士による2018-2019シーズンの開幕だ。「ドイツ・バーデン州立歌劇場」や「ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)」、「フランス国立リオン歌劇場」など、海外の一流オペラハウスで芸術監督や首席指揮者を歴任してきた日本を代表するマエストロ大野和士が、開場20周年を迎える「新国立劇場」をどのような方向に導くのか興味津々である。

1月11日(木)に新国立劇場で行われた「2018-2019シーズン説明会」では、①「レパートリーの拡充」、②「日本人作曲家シリーズの開始」、③「2つの1幕物オペラとバロックオペラの新制作」、④「旬の演出家や歌手の起用」、⑤「他劇場との積極的なコラヴォレーション」という5つの目標が大野和士次期芸術監督によって発表された。

これらを念頭に置きながら上演される新シーズンのオペラは、モーツァルト:「魔笛」(10月)、ビゼー:「カルメン」(11、12月)、ヴェルディ:「ファルスタッフ」(12月)、ワーグナー:「タンホイザー」(2019年1、2月)、西村朗:「紫苑物語」(2019年2月)、マスネ:「ウェルテル」(2019年3月)、ツィムリンスキー:「フィレンツェの悲劇」&プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」(2019年4月)、モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」(2019年5月)、プッチーニ:「蝶々夫人」(2019年6月)、プッチーニ:「トゥーランドット」(2019年7月)という豪華絢爛(けんらん)な10作品。これは期待できそうだ。

上野と丸の内、そして池袋でも音楽祭が楽しめる

首都圏を彩る2つの音楽祭「東京・春・音楽祭(3月16日〜4月15日開催)」と「ラ・フォル・ジュルネTOKYO(5月3日〜5日開催)」は今年も健在。桜の季節に上野で開催される「東京・春・音楽祭」のプログラムには「ロッシーニとその時代〜混乱の時代を生き抜く知恵と音楽〜」と題された5時間にも及ぶマラソンコンサートが予定されている。ここでは、今年のメモリアル作曲家ロッシーニの人生をたどる機会が持てそうだ。

さらには、オペラ界からの引退後に手掛けた宗教曲の傑作「スターバト・マーテル」が披露されるのもうれしいかぎり。希代の天才作曲家にして超一流の趣味人ロッシーニの真価に触れる機会が待ち遠しい。 

一方、ゴールデンウィークの風物詩「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」は先月の記事「人気クラシック音楽祭が池袋に拡張するワケ」でお伝えしたように、丸の内と池袋の両エリアを舞台に規模を拡大して開催される。それがどのような結果をもたらすのかも気になるところ。今年の音楽祭テーマである「新しい世界へ」は、まさに新たな世界へ踏み出そうとしている「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018」を象徴しているようにも思えくる。

というわけで、2018年もレッツ・エンジョイ・クラシック! 

田中 泰 日本クラシックソムリエ協会 代表理事

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たなか やすし / Yasushi Tanaka

一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事、スプートニク代表取締役プロデューサー。1957年生まれ。1988年ぴあ入社以来、一貫してクラシックジャンルを担当。2008年スプートニクを設立して独立。J-WAVE「モーニングクラシック」「JAL機内クラシックチャンネル」等の構成を通じてクラシックの普及に努める毎日を送っている。

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