日の丸食品メーカー、米国攻略の勝算 “先駆者"キッコーマンに学べ!

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当時、キッコーマンの北米営業マンは、どこに行くときもしょうゆを肌身離さず持ち歩いた。通りがかりに公園でバーベキューをしている人々を見つければ、ポケットからしょうゆを出してしょうゆの使い方を説明したという。現在でも「営業マンはだいたいしょうゆを持ち歩いており、チャンスがあれば使ってもらおうとする」(同社)と、当時から“商売人”の精神は変わっていない。

キッコーマンのレシピ本

現在、北米でのレシピ提案はさらに進化している。キッコーマン販売の社員、ヘレン・ロバーツ氏が監修した4000以上のレシピを、ホームページやFacebookで公開。Facebookページ「Kikkoman's Kitchen」では、8万以上の「いいね!」を獲得している。

キッコーマンが北米で成功を収めたもう一つの理由は、現地の競合に対する戦略がうまく機能したことだ。キッコーマンには、本格的に北米での展開を始めた当時から、強力なライバルがいる。現地製の化学しょうゆ「ラ・チョイ(La Choy)」がそれだ。価格は前出のウォルマートでキッコーマン(10オンス瓶)が2.69ドル、ラ・チョイが2.29ドルとやや安い。ライバルはパッケージに「Preferred over Kikkoman(キッコーマンよりオススメです)」と記載するなど、真っ向から勝負を挑んでいる。

価格では対抗せず

低価格を売りにするラ・チョイに対し、キッコーマンは価格で対抗しなかった。代わりに、化学しょうゆのラ・チョイにはない、本醸造という製法をアピール。「値段の違いは品質の違い」というキャンペーンを展開した。「お客さんからしてみれば、『なぜ値段が違うの?』と疑問に思う。品質の違いを訴求して、実際に食べて納得してもらった」(キッコーマンの堀切功章社長)。結果、現在のシェアはキッコーマンが56%と圧倒的(12年)。ただ、近年は中国、韓国製などさまざまなしょうゆが登場しており、キッコーマンも安泰とはいえない。品質や用途の広さをどうアピールしていくかが、今後の成長のカギを握るだろう。

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