ダークツーリズム?被災地ツアーで考えた ヤフー社員、今度はツアコンに

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こうしたツアーは1年ほど前からやってみたいと計画していたものだった。

僕もそうだったけれど、東北に一度来てもらうと、たいていの人は“ハマる”。そして地元の人と仲良くなったり、積極的に買い物や旅行をするリピーターになってくれるのだ。逆にこちらに来ないと、今回の大震災がどういうものだったのか、TVやネットの写真・動画だけでは理解しきれないはずだ。

写真や画面で切り取られた一部では、どれだけ広大な土地が被害に遭ったのか、どれだけ高い波がきたのか、仮設住宅がどんなものなのか、課題がどれだけ多様化しているのか、どれも想像を超えているのだ。

以前紹介したハッカソンのように、僕たちは石巻にヤフー社員を呼んだり、著名人をアテンドするプライベートツアーを何度か実施していたので、その手応えは得ていた。

だから今度は、一般の人向けにもツアーを提供してみたいと考えていた。ヤフーにもYahoo!トラベルがあり、旅行会社のツテがある。僕らもそろそろ動き出す時期だと考えたのだ。

濃厚すぎる、ツアーの中身

それでは僕が石巻でできたネットワークを駆使しまくった濃厚ツアー、ご紹介しましょう。

1日目は東京からバスで石巻に移動し、地元の“語り部さん”の話を聞きながら沿岸部を周り、語り部さんが撮影した貴重な写真も見るなどして、被災当時の状況を知ってもらうことからスタート。報道ではあまり語られない、「避難所でいちばん大変だったのはトイレの管理」とか、「家が全壊したとき、半壊したとき、具体的に○○万円程度しか補助は出ないんですよ」など、リアルな話を聞かせてくれた。

被災地のお母さん方が運営する飲食店「いしのま☆キッチン」で交流を図った

その後、被災地のお母さんたちが働く飲食店「いしのま☆キッチン」に寄り、地元の食材を使った料理を食べながら地元の人と交流を図り、バスで仙台に戻って宿泊。

ここでは被災地のおじいさんやおばあさんが、ボランティアさんと絆ができ、夏休みなどに元ボランティアの人が「会いにいくよ!」と連絡があると、孫がくるかのように喜んで近所に自慢して歩く、というような話も。つながることのすばらしさを再認識できた。

2日目は地元の若手漁師・阿部勝太の船に乗り、ホタテ漁業を体験。川開き祭りの会場に移動した後は自由に遊んでもらった。

そして夕方には、僕らのオフィスであるヤフー石巻復興ベースにみなさんを案内。地元の食材を使ったお弁当やお刺身を食べて、おしゃべりを楽しんだ後、“特等席”であるビルの屋上に上り、祭りの最後を彩る花火大会を堪能してもらった。

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