経済効果150兆円!?五輪がもたらす光と影 経済再興への期待の裏側で懸念も膨らむ

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「政界、財界、スポーツ団体、すべてが一丸となったことが今回の結果につながった」。9月10日に開かれた東京五輪招致委員会関係者の帰国会見。東京都の猪瀬直樹知事の興奮はまだ収まらないようだった。

マドリード優位の下馬評を覆し、東京が2020年の五輪開催都市に決まった。投票前日、6日夜の時点で東京の獲得予想は42票。翌7日に投票する国際オリンピック委員会(IOC)委員は97人とみられ、過半数まであと7票に迫っていた。

招致委員会評議会議長の森喜朗元首相は3都市による激戦をこう振り返る。「各都市が30票ずつの基礎票を持っており、ポイントはあと20票をどう取るか。投票日までの3日間、激しくせめぎ合った」。

五輪招致の動向に詳しい早稲田大学の原田宗彦教授は「東京にとってはトーマス・バッハ氏とアハマド氏の支持が大きかった」と指摘する。

バッハ氏は次期IOC会長選での当選が確実視されていた人物だ。実際、10日の会長選で当選を果たしている。トップ交代によって、組織体制もがらりと変わるのがIOCである。組織内で生き残るには、トップの意向に沿っておくことがベストの選択なのだ。

アジア・オリンピック評議会の会長を務めるシェイク・アハマド氏はクウェートの王族出身で、バッハ氏の後ろ盾にもなっていた。その二人の有力者が東京支持に動いた。

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