経済効果150兆円!?五輪がもたらす光と影

経済再興への期待の裏側で懸念も膨らむ

マドリードのつまずき

思わぬ追い風も吹いた。「マドリードが50票以上を獲得」。スペインの大手紙がIOC委員の顔写真入りで報じたトップ記事がIOC委員から強い反感を買う。

東京の強力な対抗馬に浮上していたのがマドリードだったが、この影響でかなりの票が逃げた。下馬評では3番手だったイスタンブールが最終決戦まで残ったのは、このマドリードのつまずきが大きかった。

「あとはプレゼンテーションだけだった」と関係者は打ち明ける。G20が開催中だったロシアのサンクトペテルブルクから、IOC総会の舞台であるアルゼンチンのブエノスアイレスまで、23時間のフライト中も安倍晋三首相のプレゼンテーション内容は書き直されていた。

福島第一原発の汚染水問題に関して海外報道は過熱。その対応策について首相が詳細に説明するのが最初のプランだったが、最終プレゼンにはなじまないと考え、五輪精神を重視する内容に変更した。スピーチでは、東京のセールスポイントである「安心、安全」の関連で「フクシマ」の名を付け加えるにとどめ、質疑応答でその問題を詳しく説明するほうが効果的だと判断した。

五輪研究者の間では皇室の実質的な関与が評価されている。「高円宮妃久子さまの印象的なスピーチが大きい」(首都大学東京の舛本直文教授)。「王室外交はスペインの独壇場であったが、最後のいちばん大事な場面での久子さまのスピーチでマドリードとの差を埋めた」(筑波大学の高橋義雄准教授)という。

1回目の投票後、突如、マドリードとイスタンブールによる決選投票が発表されたため、「最初に東京が落ちてしまったと思った」(滝川クリステル・五輪招致アンバサダー)。最終投票では東京は60票を集め、イスタンブールの36票を大きく上回る。結局は1回目のハプニングも笑い話になるような圧勝だった。

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