ダークツーリズム?被災地ツアーで考えた

ヤフー社員、今度はツアコンに

僕らがこうした濃厚ツアーを実現できたのは、以前の記事でも伝えたように、地元のみなさんや生産者を中心としたチームを築くことができているからだと思う。

「漁業の場を見て、体験してファンになってもらい、消費者と生産者が共に顔の見える漁業を育んでいきたい」

漁師である阿部勝太は以前からそう願っていたが、今回のツアーはその第一歩になったと言えるかもしれない。

僕自身、石巻に来ていちばん感動したのは、こうした生産者の現場を見て体験したときだった。

IT企業ヤフーとしては、ネット上に深くなくても幅広く情報を配信し、何百万という膨大なページビューを得ることは大切だ。けれども僕らは縁あって、ここ石巻で生産者のリアルな現場を知ることになった。だからこそ、まだまだ知られていない、こうした深い感動体験をひとりでも多くの人に提供することもまた、僕らの役目ではないかと思っている。

被災地に、新たな価値を作る

「ダークツーリズム」

東北でこの言葉がちょっとした議論を生んでいる。

スターウォーズのデススター跡地をダークサイドというものを考えながら巡るツアーでもないし、真っ暗な洞窟をろうそく1本でドキドキしながら進むツアーでもない。

ダークツーリズム(Dark tourism)とは、災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のこと。ブラックツーリズム(Black tourism)または、悲しみのツーリズム(Grief tourism)とも呼ばれている。(Wikipediaより)

被災地を巡って、またいつか日本のどこかで大きな災害が起きてしまったときに、少しでも被害・悲劇を少なくするためにみんなで学んだり考えたりするのは重要だろう。

僕の周りで「東北をもっといろいろな人に見てもらいたい」とツアーをやっている人たちは、「おいしい」「きれい」「楽しい」「未来や希望がある」「面白い人がたくさんいる」――そんな東北を伝えようと頑張っている。

そんな様子を見ているので、僕が今回やった石巻のツアーを含め、個人的には「ダークツーリズム」という感じじゃあない。僕が尊敬する福島県庁の玉川啓さんは「ホープフル・ツーリズム(Hopeful tourism)」だと言っているくらいだ。

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