政治献金の受け皿、汚い政党イメージ
そもそも日本では、政党はどのような存在として規定されているのだろうか。政党について規定した法律には、政治資金規正法と政党助成法という、政治資金に関する二つがある。
その中で政党は、(1)衆議院議員又は参議院議員を5人以上有する、あるいは(2)直近の選挙で有効投票の2%以上を獲得した政治団体、として定義されている。このどちらかの条件を満たせば政党として認められるということだ。
政治資金規正法と政党助成法という名称からも想像できるように、法律の規定による「政党」に期待されるのは、政治資金の受け皿という機能のみだといってよい。
特に1994年に定められた政党助成法は、条件を満たした政党に対して国が資金を助成するというものだ。
国会議員が5人集まれば、その政党に対して政党交付金を交付することになる。これをもって、政党助成法が国会議員の安直な離合集散を助長し、野党の再編を妨げた、という議論はありうる。
実際、山本健太郎『政党間移動と政党システム』では、1993年の自民党分裂以来、政党助成金算出の基準となる1月1日をめどとして、12月に数多くの新党が作られてきたことが確かに示されている。
しかし、政党に公的な助成を行うのは、分裂を助長するためではない。強調されるべき本来の目的は、政治献金を行う個人や企業の意思に対して、政党が自律的に行動できるようにすることだ。
公的助成があることで、政治献金を背景とする特定の個人や集団への利益供与を断つことが期待できる。また、政治権力へのアクセスが弱く、献金しても見返りを期待しにくいために政治献金が集まりにくく、それだけでは資金が枯渇しがちな野党に、政治活動の資金を提供するという目的もある。
つまり、政党への公的助成は、野党の再編を妨げるどころか、秩序ある競争と安定的な野党を形成する制度として構想されているのである。
この制度の本来の問題点は、政党交付金という公的な政治資金を得るための条件を満たせない新党が、政治資金を受ける政党と対等に競争しなくてはいけないところにあった。
既存政党に有利で政党の新規参入を妨げる懸念があったのだ。しかし、日本で現実に起きているのは新規参入の阻害どころか新党の乱立ともいうべき状況で、安定した野党の成立とは程遠い。
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