カルビーがクレームを再購入につなげる秘密 「ご指摘」か「ご相談」か見極められますか?
たとえば、発売当初から味や製法を変えていない「かっぱえびせん」について、次のようなご指摘をいただいたとき、コミュニケーターはこうお詫びをしました。
お客様「昔からかっぱえびせんが好きで買っているのですが、最近の商品はしょっぱいです。塩分を減らして欲しいです。」
コミュニケーター「長年気に入ってお召し上がりくださっていますのに、ご不安なお気持ちにさせてしまい、誠に申し訳ございません」
一般的には、「この度は、当社商品をお買い求めいただいたにも関わらず、ご期待に沿えませず申し訳ございません」といった表現になるかと思います。しかし、これだけではお客様の心情を十分に察したお詫びとは言えないと考えています。
そこで、先のように「本来なら喜んで召し上がっていただけるはずの商品で不安を与えてしまった」という、“何に対して申し訳ないと思っているか”を具体的に伝えます。
仮に、お客様の心情を十分に察したお詫びでなかったとしても、コミュニケーターがお客様の真意を知ろうとしている姿勢が伝われば、お客様は安心され、その後の対応もスムーズになっていきます。
「ご指摘」か「ご相談」か見極める
「最近のえびせんはしょっぱい」というお客様の声に対して、「これは改善を求めるご指摘だ」と判断して対応を進めてしまうと、「お預かりしてお調べします」という処理業務の流れになってしまいます。
そうではなく、「ご指摘」の判断をする前に、お客様の真意を知るために問題点と状況を可能な限り詳しくヒアリングすることが重要です。お客様がご立腹されている場合もありますが、まず「お聞きすること」に徹し、少し落ち着かれたタイミングで詳しくお話を伺います。
お客様へのヒアリングをする際、コミュニケーターがつねに意識するポイントは、「このお客様は、なぜ、このようなお問い合わせをされるのか?」ということです。
お客様が電話口で最初から本当のお気持ちを話してくださることはほとんどありません。商品に不具合を感じてご連絡をくださったお客様はたいてい、まず何が起こったのか、その状況についてご説明されることがほとんどです。
そうしたお客様とのやりとりのなかで、いかにお客様の真意を見抜いていくのか、それはマニュアルやFAQでは解決できない問題です。
感情を害して怒っているのか、体への悪影響を心配しているのかなど、お客様との電話でのやりとりを通じて、コミュニケーターが感じとり、考えます。