米保険大手AIGは、なぜ政府によって救済されたか

米国保険最大手のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の国有化とFRB(米連邦準備理事会)による850億ドルもの資金供給が、16日(現地時間)に決まった。証券大手リーマン・ブラザーズ破綻に次ぐ、米国発金融危機の焦点となっていたAIGの救済により、米政府は危機回避を狙う。公的救済を受けられず破綻したリーマンとは異なる対応となった。

過去のルールは、モラルハザードとの批判を避ける意味で、元本が保護される預金取り扱い金融機関のみを救う、というものだった。それが3月の米証券大手ベアー・スターンズで、証券会社救済にまで広がったのは、クレジット・デリバティブの市場で金融機関やヘッジファンドの取引の相手方になっていたためだ。これに対して、リーマン・ブラザーズはこの間、クレジット・デリバティブの取引の相手としては、ポジションが小さくなっていたようである。

しかし、AIGは実は、このクレジット・デリバティブの市場で非常に大きな存在感を持つ企業だった。AIGは日本では保険会社として知られるが、規模の大きな資産運用会社であり、日本を含む世界中で、証券化商品や不動産に投資を行っている。そして、もう一つの大きなビジネスが、子会社のAIGFPで行っていた証券化商品の保証やクレジット・デリバティブの業務である。資金繰り難も元はといえば、この子会社が原因だ。

この子会社は第2四半期決算の開示資料によれば、4410億ドルものCDOやCLOに関連したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の取引がある。格付け機関に格下げをされたことで、追加担保が発生し、資金繰り難に陥った。もし、AIGが破綻するようなことがあれば、このCDSの取引を通じて、世界中の金融機関がパニックに陥る危機に瀕していたのである。
(大崎明子 =東洋経済オンライン)

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