「父母と娘のトリプル介護」をする作家の人生 「5000通の葉書」が命を繋いだ
脇谷さんは3年前、若き日の自分を変えてくれたオバチャンに再会した。
お礼を言ったら、意外な返事が返ってきた。
「あれは私が言うた言葉と違う。幼い息子を抱えて嘆き悲しむ私に、先輩が言うてくれたんや」
それ以来、脇谷さんは障がい児を抱えた若い母親に会うと、同じ言葉を伝えている。
「キーワードは、あんたが変わることなんやで」
脇谷さん自身、困難に突き当たるたび、素直に学び、変わることで乗り越えてきた。
目の前のことを必死にやるだけ
そして、作家デビュー、ラジオのパーソナリティー、著書の映画化など、思いもよらない道が開けてきた。
慌ただしくも充実した日々を送る脇谷さん。これからの夢を聞くと、「ないのよ」と即答した。
「ないっていうか、目の前に落ちてきたことを必死にやるだけです。もし、自分が死ぬ瞬間まで介護していても、私は不幸だとは思わないわ」
笑顔で言って、ふと耳を澄ますと、かのこさんの痰を吸引するため、スッと立ち上がった。
※映画『キセキの葉書』全国公開中。詳しくは公式ホームページで。http://museplanning.co/movie-kisekinohagaki.html
(取材・文/萩原絹代)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら