保険見直しは「保障額」の金額のみに注目せよ 詳細を見るとわからなくなってしまう

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仮に、10年以上前の契約で、毎月2万~3万円の保険料を払い続けている場合、すでに200万~300万円程度の払戻金があるでしょう。したがって、この類いの契約を継続している人は、大病に罹った場合など、解約しておカネを用意する手があるのです。

たとえば、3大疾病になった際、300万円くらいの保険金が支払われる保険への加入、あるいは特約の付加や継続などで悩んでいる人は「すでに契約中の保険の中に相当額のおカネが積み上がっている。それを引き出すだけだ」と考えたらいいのです。

払戻金が100万円程度の場合でも「がん保険の診断給付金の額くらいは、すでに用意ができている。日額5000円の入院給付金なら200日分、持っていることになるのだ」と評価したらいいでしょう。

入院時などに「今、(貯蓄性がある保険を)解約したら、払った保険料に対してマイナスになる」「差し引きゼロになるまで解約できない」などと言う人がいますが、よくある間違いです。

100万円程度の給付であれば保険は不要

「契約後、代理店に支払われた手数料が戻ってくるだろうか」などと想像してみてほしいのです。今あるおカネやこれから手にできるおカネをどう扱うか、という問題なのです。「いつでも100万円くらいの払戻金が手に入るのだから、100万円程度の給付額が約束されている保険への加入は不要」と判断するのが賢明なはずです。

リスク管理の本などでは、保険はリスクを「移転」する手段と説明されています。自己資金で対応できないリスクを保険会社に負ってもらう仕組みだからです。その代わり「移転料(保険料)」がかかるので、自力で対応できる事態には、保険を使わないほうがいいのです。

一方、自己資金などでリスクに対応することは、「リスクの保有」と言います。長年、損保系生保などで商品設計などにかかわってきたある専門家は、一般の人たちが、諸々の不安からか、忘れてしまいがちなのは「リスクを保有する重要性」だと語ります。筆者も同感なので、最後に引用しておきます。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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