「半沢直樹」に熱狂する、バブル世代の悲愁 本当に倍返ししたら、4倍返しでクビになるだけ

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――昨日たまたまメガバンクの広報の人と食事をして、まさにその話をしましたが、やっぱり統合併の間に辞めた人はいっぱいいる。それで残った人たちは外資に行った人たちの10年間のキャリアパスを見てきているわけですよ。それを見ていると、そこで成功を目指すよりは、中の出世競争に勝ち残ったほうが、最終的な生涯賃金などを考えたら得だとみんな考えているようです。

ムーギー:なるほど。外資に行くのは、やっぱり生涯賃金の割引率が圧倒的に高くなりますからね。キャッシュフローが向こう30年、割引率2%とかで予想できた邦銀のキャリアと、生涯賃金が3年なのか5年なのかわからずに、おまけにそのリスクが高いから、もう割引率なんか200%みたいな。「リスク・アジャスティッド・サラリー」というのを考えると、決して割に合わないということも多いですからね。

しかし「半沢直樹」がこんなに共感を呼んでいるということは、やっぱりみんな会社から出られないんだ。

:そう。みんな我慢しているんだけど、その中で痛快に勝ち上がっていく姿がたぶん共感を呼んでいるんですよ。現代の中のサラリーマンの中のヒーローですよ。特にバブル世代が支持しているんじゃないかな。

ムーギー:日本のサラリーマンの硬直的というか不公平というか、好ましくない上司による不条理とかに耐えていかなくちゃいけない現実の中で、せめてドラマの中だけでもカタルシスを経験したいと。つまりプロレスを見たいのと同じ願望だ。

:僕は「水戸黄門」って呼んでます。サラリーマンの「水戸黄門」。

ムーギー:ということは本質的には、「水戸黄門」であり「遠山の金さん」であり、日本人が好きな勧善懲悪パターンがちょっと現代版にアレンジされただけと。

――あんなかっこいい男でなくても、ああいうドロドロはどこの会社でもしょっちゅう起こっているはずです。それだけにみんな共感するのではないでしょうか。

ムーギー:うん。ほかに人気が出た原因は何なのですか。……(独り言のように)私、見てないのに、なんで半沢について対談してんの。ネットでまた、怒りのスレッドが3本くらい立ちそうやな(笑)。

:僕は最初の1回を見て、もうはまっちゃって。

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