先輩からの転職勧誘は慌てて乗っちゃダメだ 引き抜きにあったら、絶対に確認すべきこと

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今回のわたるさんのケースでも、先輩氏は必ず何かしらの思いがあって声をかけているはずです。そのような先輩氏がわたるさんに対して期待していることと、わたるさんのやりたいこととのギャップがあるのか否か、そしてなぜわたるさんなのか、そういったことを真摯に話し合うべきです。そしてそのうえで、悩むべきなのです。

ちなみに、転職における私のいちばん重要な判断基準は、その転職をすることによって、その先の自分にとってのキャリア上の選択肢が広がるか否か、です。

そのような判断を下すにあたっても、具体的な業務内容や求められていることを明確化しないと判断のしようがありません。

先輩ということで、一般の転職面接よりも突っ込んだ話ができる間柄でしょうから、ここはぜひ納得のいくまで話し合ってみましょう。

私自身も、特に知り合いに声をかける場合は、知り合いであるがゆえに明確化せずになぁなぁになってしまうことを避けるべく、通常の面接よりも多くの時間と機会を設けます。実際にそのような場合には、会社の会議室のほかに食事などをしながら、雰囲気と場所を変えてお互いが納得するまでとことん毎回話し合います。

知り合いであるがゆえの甘えで自分自身の判断が濁らないためもありますが、やはり候補者の方にも納得して入っていただきたいからという理由が大きいのです。

「誘われたからついていく」では自分自身の判断が不在

転職判断とは、つまるところ双方向の判断が求められますから、お互いが理解し合って、納得し合っていることが大切なわけです。

わたるさんもそういったことを通じてお互いを本当に理解したうえで、わたるさんの今後のキャリアにとって現在の会社に残るのがよいのか、それとも転職をするのがよいのかを判断するべきです。

往々にして、先輩や上の立場の人はより大所高所の視点から客観的に部下を見ているものです。

今回転職をするしないにかかわらず、先輩氏のわたるさんに対する評価などを聞くことで今後のキャリア形成上の大きなヒントを得られるかもしれませんから、ぜひここはゼロベースでとことん話し合ってみてください。

「誘われたからついていく」では自分自身の判断が不在ですから、熟慮したうえでの転職ではありません。人生の大きな判断であるがゆえに、転職には熟慮が求められますから、納得するまで情報収集と協議を重ねましょう。

わたるさんが納得したうえで、大きなキャリア上の判断をされることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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