営業で伸び悩む人と頭角現す人の決定的な差 地味な1日の繰り返しが大きな結果を呼ぶ
惰性で仕事を行ってしまっていると、こうした転機に対して、「いやいや、私みたいな者がそんなお仕事なんて」と、ついひるんでしまうでしょう。しかし、努力と改善を積み重ねた人間であれば、自分の成長を信じて難易度の高い仕事を引き受けることができます。これはとても大きな分岐点なのです。
というのも、実際に1段階上の仕事を受けると、これまで見えてなかったような、新たな自分の短所や長所、そして課題が見えてくるようになります。すると相対的に、以前よりも量も質も高い努力を重ねることになるわけです。
私はといえば、野村證券での入社1、2年目の頃と3年目以降とでは、担当する顧客が大幅に変わりました。それまで気づかなった証券・金融の知識の甘さや、経営・ビジネスに関する自分の視野の狭さに愕然とさせられました。
だからこそ、そうした勉強に対して人一倍まじめに取り組むことができたのです。それが普通になる頃には、自分自身のレベルも上がり、また上のレベルの仕事が紹介されるようになります。継続した努力は、こうして「2乗」の意味での加速をもたらしてくれるのです。
「魔の2年目」を乗り越えるには
ご存じの方も多いかと思いますが、営業の世界には「魔の2年目」という言葉があります。1年目は順調に新規開拓ができていたのに、2年目に急ブレーキがかかる現象のことです。
野村證券時代、私と仲のよかった同期の営業は、初年度は全国の同期のなかで3位の好成績を残しましたが、2年目で急に契約が取れなくなり、それを重く抱え込みすぎて本格的なスランプに陥り、3年目で退職してしまいました。
なぜ彼は2年目で急ブレーキがかかったのでしょうか? その理由は、量と質の関係で説明できます。
野村證券では、初年度の新人に求められるのは新規開拓と預かり資産の増加の2点だけです。それゆえ、質が多少悪くても、気合いと体力で誰よりも量をこなせば、ある程度の結果は残すことができます。
そこで出した結果に比例して、2年目からは既存顧客の対応に追われるようになります。すると喫緊の課題は既存顧客の要望を満たすことになるので、新規開拓が後回しになり、訪問件数が減り、見込み顧客の管理も煩雑になります。その結果として、1年目に新規開拓件数が多かった者ほど、営業成績ランキングの上位から消えてしまうのです。
少し考えれば当たり前の話なのですが、これが売れる営業がよく直面するジレンマなのです。
こうした事態を避けるために、量だけで結果を出せていたとしても、1年目のうちから質の改善を意識的に行う必要があります。それは自分の時間を効率的に使うためのPDCAかもしれないし、リストの質を上げることかもしれません。
このように量と質の両軸の改善をしていかないと、既存顧客が増えたり、もしくは部下を持ったりして、いままでどおりの量をこなせなくなったときに仕事がオーバーフローしやすくなってしまうのです。
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