ネットは「テレビのあり方」を変え始めている 「放送枠を持つ者」だけでは生き残れない

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ところが今年になると、日本アニメ買い付けの主役だった中国の動画配信サイトによる、急成長を目指しての投資合戦も落ち着いてきた。サービスの統廃合も進んでいる。投資の過熱から資金難に陥った事業者などもあり、引き続き市場全体は成長はしているものの成長率は落ち込み始めており、これまでのような爆買いはなくなった。

ラインナップとしての日本アニメが、品ぞろえとしてある程度、そろってきたことも理由の1つだろうが、中国の事業者が当て込んでいた2次使用などの副収入が伸びていないことも原因だという。日本の場合、コンテンツそのものの収益以外にも関連商品売り上げが大きいが、中国では日本ほど市場が成熟しておらず2次利用収益が見込みほど伸びなかったことから、どの事業者も売り上げ金額が調達金額を大きく下回る赤字となっている。

グローバル市場への挑戦で関西テレビが得たもの

必然的に調達予算を絞らざるをえない状況で、今年の統計データはまだ出ていないものの、昨年までのブームは過去のものになりつつある。要因はいくつもあるだろうが、やはり海外市場は“主”ではなく“従”ということではないだろうか。“ネット配信動画サービス特需”も、いずれは落ち着き、日常となる。

爆買いを支えていた新興ネット配信業者が調達予算を絞り、事業者の数も減ってきている状況で、昨年までのブームがうそのように静まりかえった。安定した輸出が期待できない背景にあるのは、前述したように国内外で求められる作品ポートフォリオの乖離である。“新興ネット配信動画サービス特需”は、あくまでも特需。

国内でコンテンツが生まれてくる構造、そこから生まれる作品ポートフォリオと、海外バイヤーが求めるコンテンツの属性が合っていなければ、一部にヒット作品は生まれても産業全体としての成長は望めない。

そうした中で筆者が注目していたのは、フジテレビ系列の準キー局である関西テレビが挑戦している海外へのドラマ販売だった。「MIPTV 2017」でワールドプレミア上映された「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」について過去の記事(「公安ドラマ」は世界でヒットするのか)でリポートしたが、関西テレビは放送外でのコンテンツ販売、配信に向けて積極的に展開している。

「一地方局として、今後のビジネスを見据えての動き」としてワールドプレミアに初挑戦した関西テレビのその後について、コンテンツビジネス局長の岡田美穂氏は「すべての商談がまとまったわけではないが、これまでにない成果も得られ、進むべき方向が見えてきた」と話す。

MIPTVで上映された「CRISIS」は上映会後、1週間以内に19カ国から問い合わせがあり、実際の商談へと進んだ。日本ではフジテレビ系の全国ネットにドラマ枠を1つ確保する準キー局の関西テレビだが、グローバル市場ではまったくの無名。このうち11カ国は、問い合わせさえもらったことがない国だった。

多くの読者がご承知のとおり、韓流ドラマがはやる以前からアジア地区では“日式ドラマ”が流行したこともあり、アジアからの問い合わせは少なくなかったが、MIPTVで上映されたことでこれまで実績のなかった欧州(ポーランド)との契約がまとまった。具体的にはブラジル、イタリア、イギリス、ギリシャ、ポーランド、スペイン、スイス、トルコ、イスラエル、インド、オーストラリアの11カ国との接点を関西テレビとして初めて得られたという。

「長年、国際マーケットに参加している在京キー局なら、当たり前のことなのかもしれません。しかしわれわれは、日本が強いといわれているフォーマット販売やアニメ販売には強くない。そうした中にあってドラマで勝負するわれわれとしては、心強い結果でした」(岡田氏)

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