ネットは「テレビのあり方」を変え始めている 「放送枠を持つ者」だけでは生き残れない
10月16日から19日までの日程で行われる、仏カンヌで世界最大級の映像コンテンツトレードショー「MIPCOM 2017」。日本では2018年12月の4K/8Kの実用放送開始を控え、NHKは8K撮影、民放各局も4Kコンテンツの制作に本腰を入れ始めている。超高精細化真っ盛りというところだが、グローバル視点で見ると少し状況が異なる。
日本以外でも4K放送が実験的に始まってはいるものの、配信の主役はネット配信業者。MIPCOMで取引される映像作品でも高精細コンテンツは増えてきているが、日本以外ではNetflixやAmazon Videoに代表されるネット配信業者が主役だ。「Insight」のように衛星放送とネット配信を組み合わせた事業モデルを展開する事業者もある。
グローバルでのコンテンツ商取引と、在京キー局を中心とした映像コンテンツ産業が形成され、国内に閉じた構造を持つ日本のコンテンツ産業は向かうべき方向を見つけることはできるのだろうか。
ネット配信サービス勃興が招いた直近のアニメバブル
中国企業の爆買いとふんだんな予算でコンテンツ確保に走る大手ネット配信サービス会社が、ドラマだけでなくアニメにも投資を始めた――そんな話が話題に上り始めてから1年ぐらいしか経過していない。
確かに映像コンテンツの産業構造は変化した。アニメの爆買いも一時は広がったが、しかし現在はそれも落ち着き、むしろ供給過多。加えてアニメ産業を支えてきた深夜放送枠アニメを、ブルーレイ+コミック/ライトノベル(ラノベ)+ゲームのメディアミックスで売り込むビジネススタイルも通用しなくなってきており、むしろ”アニメ・バブル再来”といわれた爆買い以前よりも状況が悪くなっているという。
一部、声優によるコンサートなど実演事業と組み合わせての成功例、『君の名は。』や『この世界の片隅に』といった大ヒット映画の事例はあるものの、アニメ業界の裾野を支えてきたテレビ放送を基本としたアニメ産業の土台は危うい状況になってきているようだ。
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