保毛尾田ネタ炎上、鎮火しても残る「違和感」 賛否両論で見えてきた「問題の現在位置」

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今回の件を、「フジテレビが謝罪してよかった」で終わりにしていいのだろうか(撮影:今井康一)

先日、フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」30周年記念のスペシャル番組で石橋貴明氏扮する「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」が登場。これが物議を醸し、最終的にフジテレビの宮内正喜社長が謝罪するに至った。

筆者は都内の大学に通うゲイの大学生で、LGBTに関する啓発活動を行っている。LGBTをはじめ、性的マイノリティへの理解が進みつつある昨今、こうした差別的な表現が批判されるようになったことには、社会の変化を感じる。しかし、LGBTをはじめ、性の多様性への理解はまだまだ途中だからこそ、SNSで炎上する様子を見て、“ある違和感”も感じた。

保毛尾田保毛男登場からフジテレビ社長謝罪までの経緯

改めて経緯を振り返ってみる。番組中のコーナーで、約30年前に人気だったとされる、とんねるずのキャラクター「保毛尾田保毛男」と「ノリ子」が登場した。

かつての姿のまま、颯爽と登場した保毛尾田保毛男(写真:著者提供)

顔の下半分を青くぬり、頰をピンクに色付けしている保毛尾田らに対し、共に出演したビートたけしが「お前ら違う国に行ったら死刑だぞ」や「小学校の時、こういうオヤジが公園で待っていて、みんなで一緒に逃げた」と揶揄する。ノリ子(木梨憲武)が保毛尾田に対して「ホモなの?」と聞くと、保毛尾田が「ホモでなくて、あくまでもうわさなの」と返す……というのが一連の流れだった。

これに対して、Twitterを中心に批判が噴出。さらに保毛尾田を擁護する意見も多数寄せられ、いわゆる炎上に発展した。放送翌日の29日には、筆者も保毛尾田保毛男の登場を批判するブログを書いたが、非常に多くの人に読まれ、それに伴い賛成も反対もさまざまな意見が見られた。

その日のうちにLGBTの関連団体が「『ホモ』という単語は男性同性愛者に対する蔑称であるとともに、その存在⾃体を嘲笑の対象として表現することは、今なお⽇本社会に残る性的少数者への差別や偏⾒を助⻑する」とフジテレビに対して抗議し、夕方にはフジテレビ社長が「もしその時代が違っていて、不快な面をお持ちになった方がいたことは、テレビ局としては大変遺憾なこと」と謝罪するに至った。

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