保毛尾田ネタ炎上、鎮火しても残る「違和感」 賛否両論で見えてきた「問題の現在位置」
「ホモ」は差別的な言葉だという認識は徐々に広がりつつあると思うが、男性同性愛者という存在自体や、その属性を笑いのネタとして扱うことは、同性愛者が「気持ち悪い」「嘲笑してもよい対象」だということを肯定してしまう。実際、当時このキャラクターの登場によって、学校で「保毛尾田保毛男」とあだ名をつけられ、いじめられたという人もいた。多くの当事者にとっては、自分は異常な存在なんだと思ってしまう要因の1つにもなってしまったのだ。
LGBTの総意ではない、けれど、痛かった人が上げた声
たとえ今回の放送にその意図がなかったとしても、こういった差別や偏見を助長してしまうおそれがあった。また、日本民間放送連盟 放送基準の第11章77には「性的少数者を扱う場合は、その人権に十分配慮する」と書いてあるが、そこに抵触するおそれもあった。
今回の件に対して上がった擁護側の意見として、「めんどくさいクレーマーが増えてテレビが面白くなくなってしまう」というものや、「デブやハゲといった他の属性についても言及しないのはなぜか」というようなものが多かった。
これらの意見についてはTBSラジオ「Session-22」で荻上チキさんがわかりやすく反論しているので、一部抜粋して紹介したい。
まず、「めんどくさいクレーマーが増えてテレビが面白くなくなってしまう」というものに対しては、「いま足を踏まれている人」を例に出して以下にように話した。
また、「デブやハゲといった他の属性についても言及しないのか」というものに対しては、
「私も同性愛者だが傷つかなかったし、むしろ保毛尾田保毛男を笑っていた。LGBTの総意みたいに批判しているほうがおかしい」という意見もあった。
当事者の中には、保毛尾田保毛男に対して傷つかなかったし、むしろ当時は笑っていた人も当然いただろう。もちろん今回、保毛尾田保毛男を批判していたのは、性的マイノリティ全員ではない。私自身もそうだが、当事者がホモネタを自分から笑いにできたりして、日常をサバイブできることがある。それ自体はいいことだ。
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