まだある!サウジで女性が「できないこと」 自動車運転解禁でも自転車に乗るのはNGだ
このようなサウジの特異性は、シャリア(イスラム法)そのものが法源となり、政治や社会活動の全般に影響を及ぼしているのが要因だ。ほかのイスラム諸国の多くは、結婚や遺産相続など家庭法の分野を中心にイスラム法が適用され、主に西洋から取り入れた実定法(じっていほう)が政治や社会をつかさどる。
サウジで窃盗が手首切断、結婚した女性らの不倫は死刑か終身刑、殺人や強姦などに斬首刑が適用されているのは、イスラム法の規定を厳格に適用しているためだ。イスラム法では明確な結婚年齢の規定がないため、早い場合には10歳前後で婚姻関係を結ぶ児童婚もサウジでは今も行われており、世界的なニュースになることもある。
イスラム法ができた頃は自動車はなかった
サウジ人女性に全身を覆うアバヤなど装いの制限があるのも、コーラン24章31節にその根拠があるとされている。
「女子の信者にはこう言え、『目を伏せて隠し所を守り、露出している部分のほかは、わが身の飾りとなるところをあらわしてはならない。顔おおいを胸もとまで垂らせ。自分の夫、親、夫の親、自分の子、夫の子、自分の兄弟、兄弟の子、姉妹の子、身内の女、あるいは自分の右手が所有するもの(編集部注:奴隷)、あるいは欲望をもたない男の従者、あるいは女の隠し所について知識のない幼児、以上の者を除いて、わが身の飾りとなるところをあらわしてはならない』(『世界の名著 コーラン』)。
イスラム法は、聖典コーランと預言者ムハンマドの言行録ハディースが2大法源。コーランは自動車が存在しない650年ころに編纂されており、実は女性の運転を禁止する法的な根拠はあいまいだった。
今回の決定に際しては、イスラム法から判断して女性の運転は禁じられていないとの新たな解釈を示すことで、世俗化や欧米化に反対する宗教保守派の説得に成功したといわれている。ということは、これまでの解釈では女性の運転が禁じられ、新たな解釈では容認されることになる。イスラム法とは解釈次第との側面もあり、これが政治的・社会的な対立の要因となっている。
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