「原油価格はもう一度下落する」は本当なのか 「1バレル=40ドル台後半」は、いつまで続く?
原油価格が膠着状態にある。代表的指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は7月末に一時1バレル=50ドル台を回復する場面があったが、その後は上値を攻めきれず、40ドル台後半での横ばいが続いている。徐々にセンチメントは好転しているものの、上値が重い。理由は主に2つ。OPEC(石油輸出国機構)加盟国の減産がやや緩んできていることと、米国の産油量の増加だ。
「価格が上がらない」のは誰のせい?
トムソン・ロイターの調査によると、7月のOPEC産油量は前月比9万バレル増の日量3300万バレルだった。OPEC主導の協調減産参加を免除されているリビアで最大規模のシャララ油田からの供給が加速している。産油量も年初来最高に達しており、これが原油相場の上値を抑制しているといえる。
こうした状況から、市場ではOPEC主導の協調減産に懐疑的な見方がある。また、7月のOPECの原油輸出量は加盟国が増えているので単純に比較できないが、過去最高の日量2611万バレルとなり、前月からも37万バレル増加している。理由はアフリカのOPEC加盟国からの輸出が急増したことが背景という。例えばナイジェリアの7月の輸出量は前月比26万バレル増の219万バレルで、2015年11月以来の高水準だった。また、アンゴラは20万バレル増の189万バレル、リビアは12万バレル増の88万バレルだった。
一方、減少幅がもっとも大きかったのはサウジアラビアで、7月の輸出量は前月から日量36万バレル減の710万バレルとなり、クウェートとカタールも減少した。イラクの7月の輸出量は、ほぼ前月並みの日量322万バレルで、イランは前月から日量10万3000バレル増の229万バレルだった。このように、OPECによる減産の履行は、サウジによるところが非常に大きくなっており、この点が問題視されている。
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