米国株の本格的下落が始まったかもしれない 警鐘は「相場の天井」で鳴ってはくれないもの

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米国の株式市場はバノン大統領首席戦略官の更迭をきっかけに、再び上昇するのだろうか。筆者は「下落時期が早まった」という見方を強める(写真:Andrea Izzotti / PIXTA)

短期的にはリバウンドも有り得るが…

日経平均株価は、8月18日まで3営業日連続で下落した。先週末の終値(1万9470円)は、過去の終値だけをみれば、5月ゴールデンウィーク明けの上振れ直前にあたる、5月2日(1万9445円)以来の1万9400円台となった。

日本株の下落は、もちろん日本国内の悪材料ではなく、海外要因によるところが大きい。先々週は朝鮮半島の緊張が悪材料となった。また先週は米国バージニア州で、白人至上主義を主張する団体と、それに対する反対派が衝突し、死者が出る事件が起きた。この事件に対して、ドナルド・トランプ米大統領が白人至上主義者を厳しく糾弾する姿勢に欠けている、との批判が強まり、政治面での不透明感を一気に高めた。これにスペインのバルセロナでのテロ事件が加わり、世界的に株価が下落するとともに、円高も進んだ。

短期的には、米国の株価や米ドル相場がリバウンドし、日本株もいったん持ち直すと予想する。先週末(18日金曜日)は、米国市場の場中に、スティーブ・バノン大統領首席戦略官の解任が報じられた。

バノン氏は、いわゆる「オルトライト」(極右)に属している。今回のバージニア州の衝突の件で、バノン氏が具体的にトランプ大統領の発言に影響を与えていたかどうかはともかく、バノン氏の解任はトランプ政権の軌道修正(ダメージコントロール)を図る動きだと解釈されうる。それだけで問題が解決されるわけでは全くないが、このバノン氏解任の報道を受けて、週末の米国市場では、ニューヨークダウ工業株指数が、一時前日比プラスに浮上する局面があった。また、米ドル円相場も、1ドル=108円50銭台に下押ししたものが、とりあえず109円を回復して引けている。

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