まだある!サウジで女性が「できないこと」 自動車運転解禁でも自転車に乗るのはNGだ
サウジの宗教界は、戒律の厳格なイスラム教ワッハーブ派が牛耳っている。ただ、時代の流れもあって、改革や世俗化の流れが強まっている。宗教界保守派の抵抗を抑えながら、人権意識の向上や男女平等、社会参画といった観点から女性の権利向上は今後も続いていく可能性が大きい。
実際、イスラム法には現代女性にとっては不利な規定が少なくない。「親類の女性たちが家族から不当な扱いを受けている」と感じたサウジ人男性が後見人制度の廃止を訴えて逮捕され、2016年12月に裁判所から禁錮1年の判決を受けたという例もある。
3K仕事は出稼ぎのアジア人が担っている
女性側も黙っているわけではない。4人までの妻帯が認められる一夫多妻制や、女性は兄弟より原則半分となる遺産相続、夫が一方的に3回「離婚」と唱えれば離婚が成立する「トリプルタラク」といった制度に特に不満が根強い。筆者が通っていた英大学院のイスラム法の授業には、イスラム圏出身の女子学生が多く参加していたが、ある学生は「婚姻や財産問題に関するイスラム法の授業に出るのはとても憂鬱」とふさぎこんだ。
一方で、サウジ人女性がイスラム法の下で抑圧されている面は多く報じられるが、実際には、この世の春とばかりに生活を謳歌している女性陣がいることはあまり知られていない。
イスラム教では、女性は保護の対象であり、一家を支えるのは男性というのが一般的。世界有数の金満国家であるサウジでは、メイドに家事や育児を任せ、子どもの送迎や買い物、「女子会」への参加では、お抱えの運転手に頼るなど「夢のような生活」(エジプト人女性)を謳歌している人も多い。
サウジを訪れてまず気づくのは、実際に働いているサウジ人が少ないことだろう。病院の医師や学校の教師、スーパーの店員までアジア人労働者やアラブ諸国からの出稼ぎ労働者が占めている。サウジ人化政策という出稼ぎ労働者を自国民に置き換える政策が進められているが、3K労働に従事するよりは失業を選ぶというサウジ人が少なくない。待遇のいい公務員やクーラーの利いたオフィスでの仕事がやはり人気だ。女性は家庭にいるべきだという意識が男女双方に根強いことも事実である。
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