「景気刺激で消費拡大」は線香花火にすぎない これまでの20年で家計の姿はどう変わったか

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異次元金融緩和の存在感が大きいアベノミクス。政策自体も効果の面でも持続性には大きな疑問がある(撮影:尾形文繁〈左〉、今井康一〈右〉)

日本にとって望ましい経済政策を考える際の対立の一つは、とりあえず経済を活性化することを重要と考えるか、その先の持続性を重視するかという違いによるのではないだろうか。

2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた後、家計消費は大きく落ち込み、なかなか元に戻らなかった。この間、消費の低迷が続いたため、家計の消費意欲の弱さが問題点として指摘されることも多い。しかし、長期的に見ると日本の家計消費は所得の動向と比べてむしろ堅調だといえる。

SNA(国民経済計算、GDP<国内総生産>統計)で見た家計貯蓄率は、増税直前の2013年度にはマイナス1.1%に低下していた。増税前の価格が安い間にモノやサービスを購入しようという駆け込み需要で消費意欲は異常に高まっていたのだから、2013年度を起点に家計の消費意欲を考えるのは不適切だ。恒常的に家計の消費意欲を高めれば消費を活発にすることができる、と期待するのは楽観的すぎる。

長期で可処分所得が減った割に消費は健闘している

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日本の家計部門全体の収支を、最新の統計で比較可能な1994年度と2015年度で比べてみると、可処分所得は301.6兆円から295.6兆円へわずかに減少しているが、消費は27.4兆円も伸びた。

SNAでは詳細な分析をするために、所得や支出を何段階かに分けて記録しているので、かえって全体像をとらえにくいが、これらの表を統合してみると、ここ20年余りの家計の変化がよくわかる。

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