日本銀行という専門医は診断を間違っていた

成功せず副作用の大きい治療法は縮小せよ

黒田東彦総裁の任期は2018年4月までだ。次の総裁の名も取りざたされ始めた(撮影:今井康一)

黒田東彦日本銀行総裁が誕生してから4年が経ち、残りの任期は1年を切った。2013年4月に、2年で2%の物価上昇を実現するとして、量的・質的金融緩和の導入により始まった異次元緩和の試みも5年目を迎えた。

1990年代以降、日本経済の低迷が長引き、景気を浮揚させるために、ゼロ金利政策、量的緩和政策など「非伝統的」と呼ばれる金融政策が実施されるようになった。さらに黒田総裁の下では、物価が下落を続けるデフレが問題の根源であるという見方から、金融緩和政策はそれまでとは比較にならない規模に拡大した。「量的・質的金融緩和」「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と、次々と新しい手法が繰り出されてきた。

黒田総裁率いる日銀は間違っていた

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最近では、デフレ脱却のためには金融政策だけでは限界があるとの見方が強まり、ノーベル経済学賞受賞者のクリストファー・シムズ教授が唱える「物価水準の財政理論(FTPL)」や、かつてバーナンキ元FRB(米国連邦準備制度理事会)議長が提案したことがある「ヘリコプターマネー」など、財政政策との境界があいまいな手法が処方箋として話題となっている。

新たな手法はまだ議論されているという段階で、意図的に発動されたことはないので、実行したときにどうなるのかはわからない。これまで日本で行われてきた非伝統的な金融政策の評価も意見が分かれている。

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