日本人の大半が気づいてない財政危機の火種 17年度予算の中身と意味を知っていますか
2017年度の予算案が、3月27日の参院本会議で可決、成立した。
周知のように、今国会は国有地をめぐる森友学園騒動に揺れ続けて、どの予算委員会でも予算の中身を精査した質問や答弁の報道はほとんど目立っていない。ところが、実際に予算を精査してみると相変わらずの大盤振る舞いで、とても世界でも断トツの財政赤字国とは思えない中身といえる。
アベノミクスを背景にしたゼロ金利、量的緩和をいいことに、財政再建を忘れて国民の望む政策をあちこちにちりばめながら、国民のご機嫌取りのために予算を組んだと示唆されるものが多かった。国家予算の中身を見れば、安倍政権の抱える懸念とリスクが浮き彫りにされるような気がしてならない。
今国会では、「組織犯罪処罰法(共謀罪)」や「介護保険法改正」「労働基準法改正(同一労働同一賃金)」といった重要法案が審議中だが、森友学園騒動に隠れて何かもっと重要なことが見落とされつつある。
一般会計支出は5年連続で過去最大を更新?
今回の2017年度予算では、一般会計の歳出総額が97.4兆円で、5年連続で過去最大記録の更新を続けている。超高齢化社会の到来で医療費や介護費用などの社会保障費が膨らんでいるのは仕方がないにしても、社会保障費だけで32.7兆円、全体の3割を占める。
続いて多いのが、「国債費」と呼ばれる国債など公債の返済や利払いの費用。年間23.5兆円で全体の4分の1。次に多いのが「地方交付税(15.5兆円)」で補助金行政などで使われる予算だ。全体の16%に達する。
続いて「公共事業(5.9兆円)」「文教科学振興(5.3兆円)」そして「防衛(5.1兆円)」と続く。2017年度予算のポイントは、防衛費の伸びが過去最大となったこと。第2次安倍内閣発足以来、5年連続の拡大となる。ちなみに、周辺海域の警備を担当する海上保安庁の予算も、高性能の巡視船などの導入で2046億円と過去最高になった。
気になるのは、やはり政府が掲げている財政健全化へのプロセスだろう。すっかり忘れられたのではないかと思うような、過去最大の一般会計歳出予算だが、周知のように日本政府は2020年度までに財政の健全化を目指して「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」の黒字化を目指している。
国債の返済費や利払いを別にした部分で税収入だけで賄うようにしましょう、というものだが現在の状況では実現まではまだ程遠い。
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