日本人の大半が気づいてない財政危機の火種 17年度予算の中身と意味を知っていますか

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一方、日銀は毎年80兆円の国債を買い入れる量的緩和を継続しており、金融市場には実質的に60兆円程度の市場しかないことになる。このまま日銀が、国債を買い続けて金融緩和政策を続けて行ったらどうなるのか。

いずれは日銀が買う国債が枯渇して、長期金利のコントロールが制御不能になる可能性があるということだ。そうなったとき、日本経済はどうなるのか。

アベノミクス終了後は大きな後遺症で苦しむ?

最もわかりやすいのは、次のような事態に陥る可能性だ。

(1)長期金利が制御不能になって上昇する
(2)円相場が乱高下して円安に振れていく
(3)株価が暴落する

この先は、ハイパーインフレといったシナリオがあるのかもしれないが、日本の金融市場は流動性に優れているため、必ずどこかでストッパーが働く。問題は、こうした局面になったときに政府はどう対処するのか、という問題だ。

金利の上昇や円安に振れることで、景気が後退し、税収入が大きく落ち込めば、さらなる国債を発行することになる。さらに金利が上昇していくことになり、医療費や年金といった社会福祉もどうなるのか。その準備はできているのか。

日銀も、財務省もそろそろ「アベノミクス後」のシナリオを国民にオープンにしていく責務を負っているのではないか。財政赤字を最小限にすることを目指して来たEUが、ブレグジットで不安定化しつつあるのも皮肉な話だが、財政赤字に対して警戒心が希薄になる一方の日本政府も怖い。

アベノミクスは未来永劫続けられるものではない。就任当初、黒田日銀総裁もこうした異次元の量的緩和政策は「何年も続けられるものではない」と明言していた。アベノミクスが始まってすでに5年。安倍政権はスキャンダルに振り回されている場合ではないはずだ。5年を経過して失敗が明らかになってきたアベノミクスのリスクを、いまこそ直視すべき時なのかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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