「財政赤字の拡大」は政府が今やるべきことか 日本の20年にも及ぶ長期停滞の真因
近年、財政健全化が急務との掛け声の中、消費税増税などの税制改革が進められている。だが一方で、増税による景気の停滞も生じている。このもつれた糸を解きほぐす手段はないのか?
2017年度予算案が成立した今、近著『富国と強兵 地政経済学序説』の第3章でこの問題を解き明かした筆者が、オンライン読者に向けて改めて解説する。
財政を健全化させる必要などない
2016年のわが国の政府債務残高は、対GDP(国内総生産)比でついに約230%を超え、先進国の中でも最悪の水準になるという(出典はこちら)。
こんな状況にもかかわらず、次のように主張するとしたら、どう思われるであろうか。
「日本政府は、財政健全化に向けた努力などはしてはならない。なぜなら、政府が財政赤字を削減しようとしてもどうせ徒労に終わるからであり、それ以前に、そもそも日本政府は財政を健全化する必要などないからだ。政府が今やるべきことは財政赤字の拡大なのであって、とりあえず、財源など気にする必要はない」
こんなことを主張したら、たちどころに「とんでもない暴論だ」と一蹴されて終わりであろう。
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