将来推計人口の怪、甘い出生率予測は禁物だ 公的年金に必要な指標の公表が遅れている

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出生率を高く見積もれば、年金財政の見通しも甘くなる(写真:xiangtao/PIXTA)

今年1月にも公表されると見込まれていた、わが国の将来の人口予測が、3月に入ってもまだ公表されていない。裏で何があったのか。

この人口予測は、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が5年に1度作成する「将来推計人口」である。将来推計人口を作成する主たる目的は、公的年金の財政見通しを計算することである。本連載記事「年金は、本当に『100年安心』なのか」でも詳述したが、公的年金制度では、5年に1度、おおむね100年間にわたる公的年金の収支見通しを作成し、年金財政の健全性を検証することと法定されており、「年金の財政検証」とも呼ばれる。

年金の財政検証に不可欠な人口予測

年金の財政検証は、前回は2014年に実施され、次回は2019年に予定されている。年金の収支見通しは、今の若年世代が高齢者になる2060年や2070年に、若年世代の人口がどれぐらいになるかがわからなければ作成できない。だから、年金の財政検証には、人口予測が不可欠である。

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人口を正確に予測するには足元の人口の把握が欠かせない。これまた5年に1度、国勢調査が行われ、その集計結果を受けて将来推計人口は作成される。これまでの将来推計人口は、国勢調査が行われた翌々年の1月ごろに公表されていた。2014年の年金の財政検証に用いられた将来推計人口は、2012年1月に公表された。それ以前は2006年12月、2002年1月、1997年1月と、ほぼ定まったスケジュールで公表されていた。

社人研の将来推計人口は、経済環境の変化などは考慮せず、人口学的なロジックで作成されている。つまり、景気動向を問わず、性別や年齢の構成、出生率や生存率などが過去にどう推移してきたかを踏まえた推計である。景気がよいと子育て世帯に経済的余力が増して出生率が上がるとか、景気が悪いと貧困率が上がって子どもの生存率が下がるとかいうようなことは考慮しない。要するに、将来推計人口を作成する際に、将来の経済動向を綿密に分析する必要はない。

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