「円高ドル安」がまだ続くと読む本質的な理由 「円高はトランプ発言のせい」は間違い

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「日米金利差から、円安ドル高になりやすい」は本当か(写真:freeangle / PIXTA)

トランプ大統領の「円高牽制」におびえても意味がない

ドル円相場の膠着感が強まっている。2月末に行われた米国のトランプ大統領の施政方針演説は問題なく通過した。とはいうものの、今後も為替に関するトランプ大統領の不規則発言がいつ飛び出すのか、為替関係者だけでなく株式関係者も、心配で仕方がないようだ。

特に、週末にトランプ大統領から円安を牽制する発言があると、週越えのポジションが大きく毀損する可能性もあり、「ゆっくりとポジションも取れない」との声も聞かれる。日本株がなかなか上昇しない理由の1つには、このあたりの背景があるのかもしれない。

しかし、こうした懸念をする自体、為替相場がドル高・円安に向かうことを「期待」していることにほかならない。これでは、週末に懸念が強まるのも仕方がない。そもそも、為替相場の方向性に期待を持もつことや、円安を希望すること自体、おかしな話である。そのような期待や希望で市場が動くことはない。むしろ、根本的なことを理解しておく必要がある。今の為替相場は「トランプ大統領の発言懸念」でドル高になりにくいのではない。それ以外に、確固たる要因があることを理解しておく必要がある。

本欄で筆者は以前から、ドル円相場を見るうえで「日米実質金利差」を重視することを勧めている。一般的に市場では「日米の国債利回りで見ると、米国のほうが高い。だからドル円は円安に向かう」との説明が多い。さらに、日米金利差から見て「現在のドル円相場は円高方向に偏り過ぎる」と指摘する専門家も多い。

これらの説明は、一見するともっともらしい。しかし、日米の10年債の利回り差とドル円相場を比較すると、今のドル円はかなり円安であることが確認できる。この時点で、このように一般的に行われている解説は、すでに説得力がないのである。

さらに、前出のとおり、筆者が行っている日米の実質金利差でみると、想像もできないような事実にたどり着く。それは、日本の実質金利と米国の実質金利はほとんど変わらないという事実である。

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