「円高ドル安」がまだ続くと読む本質的な理由 「円高はトランプ発言のせい」は間違い

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実質金利は、名目金利から期待インフレ率を引いて計算する。簡便的に計算するため、筆者は10年物国債の利回りから消費者物価指数(CPI)の前年比を引いたものを利用し、これを長期間にわたって検証している。現在の米国の実質金利は、10年債利回りが2.496%であり、1月のCPIが前年比で2.5%であることから、計算上は0.004%のマイナス(2.496%-2.5%)となっている。

一方、日本はどうだろうか。10年債利回りが0.07%前後、1月のCPI前年比が0.1%のプラスであることから、実質金利は0.03%のマイナス(0.07%-0.1%)となる。このように実質金利は現時点では日米ほとんど変わらない。昨年12月の時点では、日本の実質金利は0.29%前後で米国よりも高かった。

日米の実質金利はほとんど差がない状態

つまり、「金利の高い通貨が買われる」という教科書的な説明に沿って考えるのであれば、ドル円はなお、ドル高にはなりにくいとの結論になる。つまり、一般的に為替アナリストが説明しているドル高円安の見通しとは異なっており、この事実を考慮していないことになる。年初からなかなかドル高にならないことをうまく説明できないのは、そのためであろう。

さらに言えば、実質金利差から計算されるドル円の推計値と実際のレートの差が15円拡大すると、おおむねドル円はピークを付ける傾向がある。これは、筆者が長年行ってきた分析からの結論である。

ひるがえって、今年の初めにドル円は118.60円まで上昇したが、このときのドル円の実質金利差から計算した理論値は103.50円であった。

つまり、この時点で筆者は、118円台が今回のドル円のピークになる可能性が高いと判断したことになる。そして、実際118.60円がピークとなり、その後のドル円は上値が重くなっている。結果的に、筆者の考えが正しかったことが証明されたことになる。今後のドル円を見ていくうえで重要なことは、市場金利動向に加え、消費者物価の動向であることは言うまでもない。

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