日本人の大半が気づいてない財政危機の火種

17年度予算の中身と意味を知っていますか

財政赤字の健全化を占うグラフに「ワニの口」というのがある。一般会計歳出(上あご)と税収(下あご)との乖離を示した折れ線グラフだが、最悪なのは歳出がどんどん伸びて、その一方で税収が減る形で、ちょうどワニの口が開いていく状態だ。現在では、ワニの上あごはどんどん開いているが、下あごもかろうじて上がっているために、ワニの口の拡大は、ぎりぎりおさえているという状況だ。

問題は、このワニの口が将来的に閉じることがあるのかどうかだ。景気拡大による税収の増加をメインに財政再建を実施していく、という財政再建策で大丈夫なのか……。いま、事態は正念場に来ている。

世界は緩和縮小(テーパリング)へ

というのも、世界はここにきてトランプ政権が誕生して「トランプラリー」が始まるなど、景気はある程度の回復を見せている。その影響で、米国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)は、今年3回から4回の金利引き上げを予定している。

日本とともにマイナス金利を導入して量的緩和を実施してきた「EU(欧州連合)」も、最近になって「テーパリング(緩和縮小)」を始めるのではないかと予想されている。EUを支えているドイツの景気が良く、インフレ率もすでに年2%程度を達成している。EUの金利を管轄する「ECB(欧州中央銀行)」も、近い将来のテーパリングをほのめかしている。

つまり、米国とEUがそろって金融緩和を脱出して金融引き締め策へとかじを取ろうとしているわけだ。米国が金利を継続的に引き上げ、EUも金融緩和から引き締めへと転換したときに、日本はどうするのか。

結論をいえば、現在の財政再建に道筋ができるまでは、日本はとても緩和縮小などできる状態ではない、と考えていいだろう。実際に、日銀の黒田総裁はこの3月24日の講演で「現時点で金融緩和の度合いを緩める理由はない」と述べて、今後もテーパリングはしないと断言している。

黒田総裁は「長短金利をコントロールすることで現在のイールドカーブを維持して、世界経済の好転を生かしていくべきだ」という趣旨の発言もしている。黒田総裁の任期はあと残すところ1年だが、当面は現在の体制が続くことになるわけだ。

しかし、現在市場が心配しているのは、次の2点だ。

(1)日銀は今後も国債を買い続けることができるのか
(2)長期金利は本当にコントロールできるのか

2017年度予算における新規国債発行額34.4兆円のほかには、過去に発行した国債などの借り換えに必要な「借換債」が発行される。財務省の「国債整理基金の資金繰り状況」によると、2017年度の借換債発行額は104兆8000億円になると試算されている。2016年度当初予算よりも4.3兆円少なくなるそうだ。

つまり、2017年度の国債マーケットでは、新規発行分と借換債で合計140兆円弱の日本国債が発行されることになる。むろん、既発のセカンダリーマーケットもあるが、2016年度より少なくなっている。

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