ブルームバーグ(Bloomberg)の記事(8月1日付)によれば、インタビューでアラン・グリーンスパン元FRB議長は、米国の株式市場がバブルだとは思わないが、債券市場にはバブルがあって、債券相場について心配したほうがよいと述べたという。
経済危機を乗り越えるために、先進諸国の中央銀行は、かつては行うべきではないと考えられていた手段をも用いて金融緩和を実施してきた。このおかげもあって、危機を乗り越えることができたが、その副作用で、株価や地価などの資産価格がファンダメンタルズから乖離して上昇する「バブル」が膨張してしまったのではないかとの懸念も高まっている。
FRB(米国連邦準備制度理事会)のジャネット・イエレン議長は7月の議会証言で、株価が高水準であることは認めたものの、バブルであるとの見方には否定的だったという。しかし7月末から連日史上最高値を更新していたNYダウ平均株価は、トランプ政権の混乱ぶりが酷くなっていることなどから、その後反落した。株価の先行きに対する不安は高まっている。
高いリスクに見合う金利差がついていない
将来の企業収益や地代や家賃が不確実であることは、株価や地価にバブルが発生しやすい原因の一つだ。現実の経済の好調や不振が予想外に長く続くのを目にすると、我々の予想はどうしても現状に引き寄せられてしまいがちだ。市場参加者が強気・弱気の一方に傾いて価格が異常な水準となることがあるのを、われわれは何度も目にしてきた。
他方で、債券は株などに比べれば収益がはるかに確実で、たとえば日本の国債残高の大きな部分を占めている10年確定利付き(10年固定金利)国債では、10年間に受け取る利子も償還時に戻ってくる元本も完全に決まっている。将来の受取額が決まっている債券には一見、バブルは起こりそうもないが、株や地価ほどの大きなものではないものの、債券の価格がファンダメンタルズから乖離するということは起きる。
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