短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ 藤戸則弘氏に聞く
――足元で日本も米国も株価はずるずる下げてきています。どのような背景があるのでしょうか。
今までウォールストリートは、アメリカ政治の混乱にまったく反応してこなかった。トランプ大統領が当選した2016年11月以来、株価の上昇は続いて、8月2日にダウは2万2000ドルをつけている。4月以降、トランプ政権の混迷ぶりは目立ってきたにもかかわらず、史上最高値を更新してきた。
トランプ大統領のキャラクターが「ヘンなことを言う人」であっても、ゲイリー・コーン国家経済会議委員長とスティーブン・ムニューシン財務長官の二人ともにゴールドマン・サックス出身者ということで、市場は期待していた。経済政策はこうした人たちがしっかりやってくれるだろうという認識がベースにあったと思う。また、企業収益がシッカリしているということもある。
トランプ大統領の失態で経済運営にも不安高まる
ところが、先日のバージニア州シャーロッツビルの事件でレッドラインを超えてしまったといえる。事件はKKK(クー・クラックス・クラン)がリー将軍の銅像撤去に反対する集会を開き、これに反対するリベラル派と騒動になったものだが、この際に、トランプ大統領は「双方に責任がある」として、KKKやネオナチを明瞭に批判しなかった。米国は移民大国であり、人種の平等で成り立つ国。名指しで批判するのが政治的に正しい行動だ。ところが、トランプ大統領はオルトライト(極右的な思想)や貧しい白人層の支持で大統領に選ばれており、本音が出てしまった。
コーン氏やムニューシン氏はユダヤ人だ。コーン氏は今回のトランプ大統領の発言に対し、ニューヨークタイムズ紙で「嫌悪感を覚える」としたため、辞任するのではないかという騒動になった。ムニューシン氏も友人たちから辞任を勧められているという報道があり、今後もトランプ大統領のこうした発言が続けば、彼らも辞任してしまい、経済運営が怪しくなるのではないかという観測が広がった。
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