短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ 藤戸則弘氏に聞く
一方で、民主党はトランプ大統領の弾劾手続きに着手すると、発表している。下院は過半数、上院は3分の2の賛成が必要であることを考えれば、上院の可決はあり得ないが、下院はわからない。
いずれにしても、夏期休暇明けの議会がすぐに大幅減税策や9月末に迫る債務上限の引き上げに取り組むことができずに、弾劾問題で紛糾する可能性がある。景気刺激策はいつになるかわからない状況だ。
アメリカでは2010年以来、7年以上景気拡大が続いている。循環からいっても、そろそろ下降する流れになる。景気の遅行指標である雇用がこれだけ良くなっていることを考えれば、年内は大丈夫でも、来年、再来年を見たときにはアメリカの経済成長が鈍化するシナリオが出てきた。
その中で、経済政策が重要になってくるのに、混乱するのみで何も成立していない。そこにマーケットが反応しはじめた。
8月、9月は下げ相場というアノマリー
1945年以降、ニューヨーク株式市場の月間騰落率は9月が一番良くない。過去には9.11やリーマンショックもあったが、11月にヘッジファンドの決算を控えて、9月には利益確定売りやファンドのリバランスをすることが多いからだ。だが、このことを皆が知るようになったので、最近の傾向ではさらに前倒しして、8月から売りを始める傾向がある。
2010年以降の7年間で、8月のNYダウの月間騰落率が上昇したのは2年しかない。残りの5年は下落している。これに加えて、トランプ大統領の人種偏見問題や北朝鮮リスクが高まったことにより、ウォールストリートはナーバスになっている。母国のマーケットが悪くなると、海外投資にも消極的になるので、彼らは日本株も売っている。
日本市場の8月を見ると、外国人投資家は7年連続で売り越しになっており、売りの特異なアノマリーが存在する。今年も7月第3週から8月第2週の4週間で現物、先物を合わせると1兆2222億円の売り越しになっている。
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