短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ 藤戸則弘氏に聞く

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――北朝鮮のリスクも高まっています。

北朝鮮問題について、スケジュールを見ると、8月25日は「先軍節」という金正日が党よりも軍を優先する改革を行なった記念日だ。昨年は、8月24日にSLBM(潜水艦発弾道ミサイル)を発射している。9月9日は建国記念日で、昨年はミサイル3発と5回目の核実験を行っている。

このように、平時でも軍事的挑発行為をしてきたが、今年は8月からアメリカとの関係が緊迫していることも踏まえると、何もやらないで終わるということはあり得ないだろう。CNNがSLBMの発射準備を報じているので、今週末くらいに動きがあるのではないか。

内政が逼迫すると外政に目を向ける。アメリカの場合、戦争すると支持率が上がる傾向がある。J.H.Wブッシュ(パパ・ブッシュ)が湾岸戦争を起こしてフセインを駆逐したときには、歴代大統領過去最高の89%の支持率を獲得した。何一つうまくいっていないトランプ大統領からすれば、先制攻撃という誘惑にかられる可能性はある。皆、まさかそんなことはしないだろうと思う一方で、過去の歴史を見ると、そういうことは起きてきたし、大義名分もあるので、市場は警戒している。

9月9日までは下値模索、1万9000円割れも

もともと、ヘッジファンドは7月のピークで12万6000枚という円売りポジションを取っていた。さらに、4月、5月でフランスのマクロン大統領の誕生で欧州リスクが後退したとして、日本株を約2兆円買っている。春までは円売り日本株買いを続けてきたが、北朝鮮リスクの高まりで、ポジションを巻き戻し、現在は円買い戻し日本株売りになっている。

以前のように日経平均が1日に数百円落ちないのは、日銀が愚直にETFを買っているからだ。以前は日銀が下げ幅を大幅に縮めていたが、8月は日銀の買いにぶつける外国人の売りが出てきているため、1万9300円までじりじり下がってきている。北朝鮮のスケジュールを考えれば、ヘッジファンドはさらに円買い戻しの日本株売りを進めて、まだ日本株が下がる可能性はある。

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