短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ 藤戸則弘氏に聞く

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縮小

――間違いなく調整、というお話も出ましたが、信用サイクルは10年と言われ、来年はリーマンショックから10年です。超低金利が続き、債務は積み上がり、バブルの感がありますね。

一つの問題は中国だ。遼寧省の1~6月の名目GDP成長率が前年同期比マイナス20%という数字が出てきたが、党大会までの経済統計は「でっち上げ」で信じられないということだろう。現在の粗鋼生産は史上最高で2016年の全世界の16億トンのうち8億トンは中国で生産されている。月間7000万トンという生産量はアメリカの1年の生産に匹敵する。それほどの需要があるわけもなく、需要に見合っていない製造をして、GDPを引き上げている。党大会が終われば実態に近い数字がでてくるのではないか。

もう一つはアメリカのBSの縮小の影響だ。4.5兆ドルの資産のうち最初の100億ドルの縮小は大きくないが、1年すれば3000億ドルになり、2年すれば6000億ドルと縮小幅が大きくなる。2年先には1兆ドルもの資金がシュリンクする。現在の金余りの状態が変化し、株は調整になってくるだろう。マネー相場の終わりの始まりであり、歴史的な転換になるだろう。

異常なETF買い、出口を黒田総裁は語るべき

――無理をしてきたアベノミクス、日本銀行の政策の問題は。

ETFの買い入れは一番の問題だ。世界の中央銀行でこんな異常な政策を行っているのは、日銀だけだ。こうした異常な政策は長ければ長いほど反動は大きくなる。現在の日経平均はインチキというよりほかはない。

黒田東彦総裁は600兆円の時価総額に対して年間6兆円の買いはたいしたことはないなどと言っているが、フローをストックと比べるのが間違っている。比べるなら、GPIFの3.5兆円や事業会社の自社株買い2兆円の年間フローと比べるべきであり、日銀は売らずに買い続ける最大の買い越し投資家だ。「前場が下がっても、後場は日銀が買ってくれる」と投資家が思っており、日銀の買い入れがマーケットにビルトインされてしまっている異常な状況だ。これから脱却しなければならない。

日銀は過去二回銀行等保有株の買取りを行ったが、ほとんどを20年近くたっても保有したままだ。大相場が来ない限りは売ることができず、未来永劫持っていくことになるだろう。黒田総裁は出口の議論すらしないが、無責任きわまりない。まずは買い入れの縮小、テーパリングのプログラムを提示しなければならない。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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