「景気刺激で消費拡大」は線香花火にすぎない これまでの20年で家計の姿はどう変わったか

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高齢化で社会保障給付増加、保険料負担も増大

年金を受給する高齢者が増えて年金の支給総額が増加したことで、家計が受け取った社会保障給付は大きく増えた。これらの収入を含む項目である「現物社会移転以外の社会給付(受け取り)」は49.7兆円から78.0兆円へと大幅に増えている。その一方で、年金や健康保険の保険料は大幅に引き上げられており、「純社会負担(支払い)」は57.2兆円から76.7兆円へと増加している。社会保障制度と家計との間の関係は、社会保険料の支払いと年金などの現金による給付だけでなく、税負担や医療費のうちで健康保険制度から支払われる部分などとの関係もあり、この収支だけでは論じられない。

可処分所得が減少してしまった原因としては、所得が伸びなかったうえに、社会保険料負担が増加したことがある。ただし社会保険料の企業負担分の増加は雇用者報酬を増やすと同時に「純社会負担(支払い)」を同額増やすので、可処分所得に対しては影響を与えていない。

所得税や住民税などのいわゆる直接税の負担を計上している「所得・富等に課される経常税(支払い)」は、わずかながら減少している。所得税に対する給与所得控除の縮小や配偶者特別控除の縮小などの増税も行われたが、社会保険料の増加で非課税所得が減少したことや、長期的には租税体系が消費税の引き上げで直接税から間接税に全体としてシフトしていることが原因だ。

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