東京五輪を招致しただけでは、成功とはいえない
さて、長々と書きつづってきたオリンピックコラムだが、気づけば雨がやんでおり、いよいよプールで泳ぐ時間が来たようだ。本コラムを終える前に、東京五輪の招致がほぼ決定的となった今、“招致後、何をもって東京オリンピックの成功”とするかというビジョンについて、親愛なる読者の皆様と一緒に考えたい。
仮に東京五輪が招致できたとしても、それだけで東京五輪招致に成功したとの判断はできない。東京五輪をまずは採算の取れる五輪にして、将来世代に過度な負担がないようなオリンピックをデザインし、また意味あるメッセージを国際社会に発し、五輪を通じて日本社会を発展させてこそ、初めて成功と言えるのである。
単に将来世代が負担する税金を湯水のように使って、お祭りを招致しただけで“成功”と言われても、政治家や責任者として目線が低すぎるのだ。
たとえばビジネスの面では日本の観光業の魅力や食文化の高さをアピールして、持続的な観光業の拡大につなげられるだろう。また日本社会に対しても、世界の人々との交流を促進して、国内だけで出回っている情報や偏見から解き放たれるきっかけとなり国際化が進めば、今後の努力で東京五輪を“成功”に導けるかもしれない。もちろん、開催国はメダルを量産できるので、金メダルを取りまくって国民に多幸感を与えれば、オリンピックで損しても一大国民激励会としての意義ある投資になるだろう。
五輪誘致を願っている人も、反対している人も、来るものは来るのだから、この際、一緒になって東京五輪の成功のために何ができるか考えようではないか。
来たる2020年の東京オリンピックが、日本の国際化を一層促進し、世界と日本の次世代にとって意義深い祭典になることを祈念する次第である。
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